大手投資会社Morgan Stanleyによると、Appleは長期的な視点で関税値上げからiPhone 17 Proの価格を守るオプションを持っていると分析しています。
その戦略の一つが、利益率の高い大容量ストレージモデルへ顧客を誘導することです。
関税問題とAppleの対応策
米国のトランプ大統領が多くの関税を一時停止し、Appleが免除を受ける可能性も出てきました。しかし、Appleはそれに頼るつもりはないようです。
Morgan Stanleyのアナリストたちは、関税の波を乗り切るための方法があると考えています。彼らの分析によれば、Appleは実質的に従来と同じ価格水準を維持することも可能だとしています。
ストレージ容量戦略の効果
Morgan Stanleyの分析では、Appleが過去に行ったストレージ戦略に注目しています。
2023年、AppleはiPhone 15 Pro Maxを1,199ドルからスタートさせましたが、このモデルは256GBのストレージを搭載していました。以前のiPhone 14 Pro Maxシリーズにあった128GBで1,099ドルのモデルはなくなり、Appleのマーケティング責任者Greg Joswiakは「このストレージレベルでは昨年と同じ価格です」と発表しました。
つまり、iPhone 15 Pro Maxの開始価格は上がりましたが、得られるストレージ容量を考慮すると同じ価格と言えるという戦略です。
Morgan Stanleyの推計によれば、Appleの最高ストレージモデルの粗利益率は、最低ストレージモデルよりも10〜15ポイント高いとされています。もしAppleがユーザーをより高いストレージモデルへ誘導できれば、関税コストを吸収するための余裕が生まれるという考え方です。
インド生産の拡大戦略
この戦略は、Appleが高容量ストレージモデルを中国で生産しながら、インドでの他のiPhone生産を大幅に増やすことで機能する可能性があります。Appleはすでに全iPhoneの25%をインドで製造することを目標としており、Morgan Stanleyはこのプロセスが加速すると考えています。
現在、アナリストたちはインドが年間3,000万から4,000万台のiPhoneを生産していると推定しています。そのうち約1,200万台がインド国内向けであり、残りの1,800万から2,800万台が世界中に出荷されていることになります。過去12ヶ月間でAppleは米国に6,600万台のiPhoneを出荷しており、インドはその生産能力を劇的に増やす必要があります。
Morgan Stanleyはインドにその能力があるかもしれないと考えていますが、それには6〜12ヶ月以上かかると想定しています。もちろん、インドを含むすべての国が関税に直面しており、90日以内、あるいはトランプ氏の気まぐれによって再び関税が課される可能性もあります。
トランプ氏は「一部」の企業が関税によって大きな打撃を受けたことを認めましたが、中国ほど重くはないとしても、関税を復活させる可能性が高いでしょう。
長期アップグレードサイクルの活用
Morgan Stanleyによるもう一つの可能性は、Appleが人々がiPhoneを長く使う傾向を利用することです。定期的な大規模なアップグレードサイクルが期待されているにもかかわらず、iPhoneの買い替えサイクルは長くなっています。
そこでMorgan Stanleyは、AppleがApple CardのiPhone分割払いプランを24ヶ月から36ヶ月に延長する可能性を指摘しています。これによってアップグレード販売に大きな影響を与えないかもしれませんが、月々の支払いが低くなるという利点があります。
また、近年のAppleはiPhoneの発表イベントでも通信事業者のキャンペーンや下取り価格をアピールすることが増えています。Morgan Stanleyは、Appleがこの取り組みを強化し、より多くの資金調達プランを活用する可能性を指摘しています。あるいは、通信事業者と協力してより魅力的な下取り価値を提供することも考えられます。
これらの戦略の展望
これらはすべてMorgan Stanleyによる推測ですが、Appleのインド展開の拡大や2023年のiPhone 15 Pro Maxの価格戦略に基づいています。
Morgan Stanleyは、もしインドが2024年に米国向けに4,000万台のiPhoneを製造できれば、中国は米国の需要を満たすためにさらに2,500万台を製造する必要があると試算しています。125%の関税率では、その2,500万台のiPhoneに対してAppleは約170億ドルの関税を支払うことになります。
しかし、アナリストたちは、Appleが最高容量ストレージモデルのみを中国から輸入し、残りをインドに任せることで、その関税の支払いを半分以上削減できると指摘しています。
Morgan Stanleyは、Appleが必ずしもこれらすべての戦略を実行するとは言っていませんし、内部情報を持っているというわけでもありません。しかし、これは妥当なシナリオであり、Appleが検討している可能性が高いと述べています。
現時点で、この投資会社はAppleの目標株価を引き上げていません。関税発表後すぐに225ドルに引き下げられ、現在は220ドルとなっています。
まとめ
高容量ストレージモデルへの誘導、インド生産の拡大、分割払いプランの延長など、複数の方法を組み合わせることで、関税による価格上昇の影響を最小限に抑える可能性があります。
これらの戦略がどのように展開されるかは、今後の米国の関税政策やAppleの生産能力の変化によって大きく左右されるでしょう。
しかし、Appleがこれらの課題に対して長期的な視点で対応策を検討していることは間違いないようです。
(Via Apple Insider.)
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