AppleとEpic Gamesの攻防再び!Epic GamesはApp Storeのいいとこどりをしたい? 複雑な関係の裏側を解説

AppleとEpic Gamesの攻防再び!Epic GamesはApp Storeのいいとこどりをしたい? 複雑な関係の裏側を解説

スマホゲームが好きな方も、テクノロジー業界のニュースに関心がある方も、今回のお話はかなり興味深いものになると思います。あの大人気ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」がついにiPhoneやiPadに戻ってくるかもしれない!…という期待が高まっている最新状況をお伝えします。

4年越しの対立劇、ついに終結の兆し?

皆さんは覚えていますか?2020年、Epic GamesとAppleの間で勃発した大規模な法的バトル。一般的なアプリとは違う決済方法を導入しようとしたFortniteがApp Storeから追放されるという、ゲーム業界では衝撃的な出来事でした。


あれから約4年。長い法廷闘争を経て、状況に変化の兆しが見えてきました。Epic Gamesは先週金曜日、Fortniteを米国App Storeに再提出したのです。iPhoneやiPadでFortniteがプレイできる日が、ついに帰ってくるのでしょうか?

ただ、事態はそう単純ではないようです。Epic Gamesの最高経営責任者(CEO)であるTim Sweeney氏によると、最初の申請から120時間以上経っても、Appleからは何の音沙汰もなかったとのこと。通常、App Storeへの申請の90%は24時間以内に審査されるというAppleのガイドラインを考えると、これは異例の状況と言えるでしょう。

再申請の背景とその戦略

「申請したのに返事がない…」という状況に直面したEpic Gamesは、興味深い判断をします。最初の申請を取り下げ、新しいバージョンを再提出したのです。

なぜそんなことをしたのでしょうか?実は、Fortniteには毎週金曜日に新しいコンテンツアップデートをリリースするという独自のスケジュールがあります。また、このアップデートはすべてのプラットフォームで同時に行われる必要があるのです。

そのため、Epic Gamesとしては、新しいアップデートを含めた最新版を再提出することで、もしAppleが承認した場合に、最新バージョンがリリースできるようにしたかったのでしょう。これは、ユーザー体験を優先した戦略的な動きと言えるかもしれません。

「待ってられないよ!」という感じで再提出したわけですが、果たしてAppleはどう反応するのでしょうか?

Epic Gamesの巧妙な戦略、スウェーデン子会社を活用

ここで興味深いのは、Epic GamesがどのようにFortniteを再提出したかという点です。

2020年の騒動でAppleはEpic Gamesの開発者アカウントを禁止してしまいました。このため、通常のEpic Gamesのアカウントでは申請できないという問題があります。

そこでEpicが取った戦略は?なんと、「Epic Games Sweden」という子会社のアカウントを使ったのです!この子会社は、ヨーロッパ連合(EU)でEpic Games Storeという代替アプリマーケットプレイスを作るために設立されたものでした。

これって、ちょっと「裏口から入ろうとしている」感じもしますね。でも、Epic Gamesの立場からすれば「全く新しい会社なんだから、過去の問題は関係ないでしょ」という主張なのかもしれません。

Appleは承認するのか?法的背景と微妙な立場

さて、肝心なのはAppleが承認するかどうかです。

法的には、Appleは以前の裁判でEpicのアカウントを終了する権利があることが認められています。つまり、Fortniteを承認する義務はないのです。

しかし、状況は少し変わってきています。現在、アメリカではAppleに対して、開発者がアプリ外での購入オプションをユーザーに案内することを許可するよう命じる差し止め命令が出されています。皮肉なことに、これはまさにFortniteが当初追放された理由と同じことです。

Appleはこの判決に控訴していますが、控訴審からの判断が出るまでは従わなければなりません。こういった背景もあり、Epic GamesのCEOであるティム・スウィーニー氏は「Appleが主要アプリをiOSからブロックするという地政学的な嵐を勇敢に乗り切るとは思えない」と述べています。

確かに、Appleが再びこの問題で裁判官の怒りを買うリスクを冒すかは微妙なところです。特に現在、Appleは世界中で様々な規制当局からの圧力に直面していることを考えると、なおさらでしょう。

「敵」のプラットフォームに戻りたい?Epic Gamesの複雑な心境

ここで少し考えてみましょう。「AppleのApp Storeはひどい!」と大声で批判していたEpic Gamesが、今になって「お願い、Fortniteを戻してください〜」とお願いしているような状況。

なんだか元カレ・元カノに「やっぱり戻ってきて」とLINEする感じに似ていませんか?ちょっと複雑な気持ちになります。

でも実は、Epic Gamesの本音はもっと深いところにあるかもしれません。彼らが本当に欲しいのは「App Storeのメリットだけを享受すること」なのではないでしょうか?

App Storeって、考えてみれば超便利な宝箱なんです。

  • 何億人ものiPhoneユーザーにアクセスできる
  • アプリを簡単に見つけてもらえる検索システム
  • 信頼性の高い決済システム
  • Appleのブランド保証による信頼感

まるでショッピングモールの一等地にお店を出すようなものですよね。人の流れも多いし、セキュリティもバッチリで、買い物客も安心して利用できる。

「手数料は払いたくない」という本音

ただ、Epic Gamesが嫌がっているのは「家賃」の部分。つまり、App Store内での購入に対してAppleに支払う30%(または15%)の手数料です。

「せっかく自分たちが作ったゲームなのに、なんでAppleにそんなにお金を払わなきゃいけないんだ!」

確かに、自分のお店の売上の30%を家賃として支払うのは痛いです。特にFortniteのような大人気ゲームだと、その金額はとんでもないことになります。スキンやバトルパスなどのアイテム販売で毎月何億円もの売上があるとすれば、Appleへの支払いだけで何千万円にもなるわけです。うーん、考えただけでもお財布が痛そう…。

「いいとこどり」は可能なのか?

Epic Gamesが理想としているのは、こんな世界かもしれません。

  1. App Storeの巨大なユーザーベースにアクセスできる
  2. Appleのプラットフォームの信頼性や使いやすさを活用できる
  3. でも購入はEpic独自の支払いシステムで完結する
  4. 結果として30%の手数料を支払わなくて済む

これって、ショッピングモールのいい場所に出店して集客はしてもらうけど、「お会計はうちの別のお店でお願いします」と言うようなものです。モールのオーナーからすれば「えっ、それはないでしょ〜」となるのも無理はありません。

でも世の中、変わりつつあるんです。法廷闘争の結果、Appleは米国では開発者がアプリ外の支払いオプションを案内することを許可せざるを得なくなりました。EUでも「デジタル市場法」により、Appleに同様の開放を迫っています。

消費者としての私たちはどう考えるべき?

この問題、どっちが正しいのか難しいところです。

Appleの立場に立てば「うちのプラットフォームでビジネスするなら、ルールに従ってよ!」という気持ちは理解できます。だって、App Storeの構築・運営には莫大なコストがかかっているわけです。

一方、Epic Gamesの「30%は高すぎる!」という主張も分かる気がします。特に、音楽や映画のストリーミングサービスなど、他の業界では通常もっと低い手数料率が一般的だったりしますから。

私たち消費者としては、この争いがどう決着するかで、アプリの価格やサービスの質が変わる可能性があります。競争が活発になれば、より良いサービスが生まれるかもしれないし、逆にエコシステムが崩れて使いにくくなる可能性もあります。

今後の展開:妥協点はあるのか?

個人的には、両社がある程度妥協点を見つけるのではないかと思っています。例えば:

  • Appleは手数料率を下げる
  • Epicは完全な独自決済ではなく、ある程度Appleにも収益が入る仕組みを受け入れる
  • ユーザーには選択肢が増える

理想論かもしれませんが、ユーザーである私たちにとっては、選択肢が増えることは嬉しいことだと思います。iPhoneでFortniteがプレイできるようになり、かつ支払い方法も選べるようになれば、それが一番ですよね。

まとめ

Epic GamesとAppleの戦い、これはもう単なるビジネス上のゴタゴタではなくて、デジタル時代の「お店のルール」みたいなものを決める大事な問題になっています。

例えるなら、ショッピングモールとテナントの関係。モールのオーナーは「うちの建物を使うなら、うちのルールに従って」と言いたいけど、人気店のオーナーは「でもうちがいなくなったら、お客さん減るよね?もうちょっと条件良くしてよ」と言いたい。
どっちの言い分も、なんとなくわかっちゃいます。

難しい問題ですが、テクノロジーの世界では、こうした「当たり前」が常に変わっていくのが面白いところです。

(Via MacRumors.)


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