いつも使っているiPhoneが、ある日突然アメリカで買えなくなるかもしれないって、想像できますか?「そんな大げさな」と思うかもしれません。でも今、iPhoneの重要な部品をめぐる大きな問題が起きていて、私たちの手にあるスマホも決して無関係ではないんです。
この記事を読み終える頃には、なぜそんなことが起こり得るのか、その背景にある企業間の技術トラブル、そして今後の新しいiPhoneにどんな影響があるのかが、スッキリと理解できるようになっています。少し難しい話も出てきますが、かみ砕いて説明するので安心してくださいね。
一体何が問題なの?スマホ画面の裏側で起きた「技術盗用」疑惑

技術の価値をめぐる争いが、国際的な問題に発展しています。
まず、ことの発端からお話ししますね。今回の主役は、スマートフォンに欠かせない「有機EL(OLED)ディスプレイ」という部品です。この技術のおかげで、私たちは息をのむほど綺麗な画面で動画を見たり、写真を楽しんだりできています。
この有機ELディスプレイの世界で、トップを走り続けているのが韓国のSamsungです。そして、そのSamsungが「私たちの技術を盗まれた!」と訴えを起こしました。相手は、中国の大手ディスプレイメーカーであるBOEです。
具体的には、Samsungが長年かけて開発してきた有機ELディスプレイの製造に関する企業秘密を、BOEが不正に入手して自社の製品作りに利用した、と主張しているんです。
そして、この訴えを調査したアメリカの政府機関「米国国際貿易委員会(ITC)」が、「Samsungの言い分はもっともだ」という初期の判断を下しました。これはかなり重い判断です。
もしこのまま最終決定となれば、ITCはBOE製の有機ELディスプレイや、それを使った製品のアメリカへの輸入を禁止するように勧告することになります。まさに、国際的な貿易問題に発展しているわけです。
私たちのiPhoneに、どんな影響が?対岸の火事ではない理由

同じiPhoneでも、販売される国によって中身が違うかもしれません。
「でもそれって、アメリカでの話でしょ?」と思いますよね。実は、そうとも言えないんです。なぜなら、AppleはiPhoneのディスプレイを複数の会社から調達していて、その一社が、今回問題になっているBOEだからです。
現在、アメリカで販売されているiPhone 15やiPhone 15 Plus、iPhone 16、iPhone 16 Proそしてこれから登場するであろうiPhone 17の一部のモデルにも、BOE製のディスプレイが使われています。もしITCの決定が確定し、輸入禁止措置が取られたら、Appleは大きな対応を迫られます。
考えられるシナリオは、BOE製のディスプレイを搭載したiPhoneをアメリカ以外の国(例えば、ヨーロッパやアジア、もちろん日本も含まれます)に振り向け、アメリカ国内ではSamsungやLGといった他のメーカーのディスプレイを搭載したモデルだけを販売する、という方法です。
私自身も長年のiPhoneユーザーですが、新しいモデルを買うときに、中のディスプレイがどこの会社製かなんて気にしたこともありませんでした。でも、こんな風に国際的なトラブルが、私たちの手にする製品の「中身」を左右していると知ると、なんだか不思議な感じがしますよね。すぐさま私たちのiPhoneが使えなくなるわけではありませんが、決して対岸の火事ではないんです。
未来のiPhoneはどうなる?Proモデルの進化にも影響か

部品メーカーの動向が、新モデルの機能や価格を左右します。
この問題は、将来のiPhoneの進化にも影を落とす可能性があります。実はBOEは、さらに高性能なディスプレイ技術でAppleとの関係を深めようとしていました。
具体的には、「ProMotion」と呼ばれる、画面の動きを非常になめらかに見せる技術です。これは現在、iPhoneのProモデルにしか搭載されていませんが、BOEはこの技術に対応したディスプレイを開発し、iPhone 17 Proシリーズへの供給を目指していたと言われています。
しかし、今回の技術盗用疑惑とITCの判断によって、その計画は大きく揺らいでいます。もしBOEがAppleのサプライチェーンから外れることになれば、AppleはSamsungやLGへの依存度を高めざるを得ません。
そうなると、部品の価格交渉でAppleが不利な立場になったり、部品の供給が不安定になったりするリスクも考えられます。これは、めぐりめぐってiPhone本体の価格や、新機能の搭載スケジュールに影響を与える可能性もゼロではない、ということです。物事は複雑に絡み合っているんですね。
いつ決着がつくの?今後のスケジュールと注目ポイント
この問題、最終的にどうなるのか気になりますよね。今後の大まかなスケジュールは以下のようになっています。
ITCによる最終的な判断が下されるのは、2025年の11月の予定です。まだ少し先ですね。そして、もし輸入禁止が妥当だという結論が出た場合、その決定はアメリカ大統領に送られます。
大統領は、その決定を受け取ってから60日以内に、それを承認するか、あるいは拒否権を発動して覆すかを判断します。過去の例を見ると、ITCの予備的な判断が最終判断で覆ることは少ないと言われています。そのため、多くの関係者が固唾をのんで11月の最終判断を待っている状況です。
私たちユーザーとしては、このニュースの続報を待ちつつ、Appleが今後どのような対応を取るのかを注意深く見守っていくことになります。
まとめ:これからのiPhone選び、少し見方が変わるかも
今回は、iPhoneのディスプレイ供給をめぐるSamsungとBOEの技術問題について、その背景と私たちの生活への影響を解説してきました。
- ポイントの整理
- 中国のBOEがSamsungの有機EL技術を不正に使用した疑いで、ITCから「クロ」に近い判断をされた。
- このままでは、BOE製ディスプレイを搭載したiPhoneがアメリカで輸入禁止になる可能性がある。
- この問題は、現在販売されているモデルだけでなく、将来のiPhoneの機能や価格にも影響を与えかねない。
- 最終的な判断は2025年11月に下される予定。
専門的で遠い世界の話のようですが、実は私たちの手の中にある最も身近なデバイスに直結する問題だということが、お分かりいただけたでしょうか。
次にあなたがiPhoneを手にするとき、その美しい画面の向こう側で繰り広げられているグローバル企業の戦略や技術開発の競争に、少しだけ思いを馳せてみるのも面白いかもしれません。
(Via MacRumors.)
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