Appleは先日開催された年次株主総会において、多様性・公平性・包括性(DEI)プログラムの終了を求める外部からの提案を株主が拒否するという重要な決断がなされました。
株主総会の主要決定事項:DEIプログラムの継続
Appleは年次株主総会を開催し、投資家たちはいくつかの提案について投票を行い、Tim Cook CEOからの最新情報を聞く機会となりました。最も注目すべき点は、Apple株主が同社のDEIイニシアチブを終了させるよう求める外部からの提案を拒否したことです。
昨月報じられたように、保守系シンクタンクである「国立公共政策研究センター」がAppleに対し、同社の多様性・公平性・包括性プログラムを終了するよう求める株主提案を提出していました。この提案では、DEIが「企業に対する訴訟、評判、財務上のリスクをもたらし、ひいては株主に財務上のリスクをもたらす」と主張していました。
このシンクタンクによれば、Appleの「包括性と多様性」プログラムのポリシーは「ほとんどの企業のDEIプログラムと一致するか、さらに急進的である」とされていました。
しかしAppleは年次委任状報告書において、株主にこの提案に反対票を投じるよう推奨し、次のように述べていました:
Appleでは、世界最高の製品を作ることと同様に、私たちがどのように行動するかがAppleの成功にとって極めて重要であると考えています。私たちは倫理的に、正直に、そして適用される法律や規制に従ってビジネスを行うことを目指しており、当社のビジネス行動とコンプライアンスポリシーは、ビジネスの基盤となるものです。そして私たちは、誰もが最高の仕事ができる帰属意識の文化を創造するよう努めています。
今回の株主総会で、投資家たちはAppleのアドバイスに従い、この提案を拒否しました。これにより、Appleの「包括性と多様性」プログラムは変更なく継続されることになります。
企業界におけるDEIの動向とAppleの立場
Appleは、DEIプログラムを維持している数少ない企業の一つとなっています。先月、MetaがDEIプログラムの縮小計画を発表し、同様の発表がGoogle、Amazon、Walmart、Ford、その他多くの企業からもなされています。Costcoも多様性ポリシーを終了させる要求を拒否している企業の一つです。
Mark Gurman 氏によると、Tim Cook CEOは今回の株主総会で、「法的環境の進化に伴い」Appleもまた多様性・公平性・包括性に関して変更を行う必要があるかもしれないと認めています。しかし同時に、同社は「帰属意識の文化」へのコミットメントを維持していると強調しました。
BBCニュースによると、Cook 氏は次のように述べています:
「この問題を取り巻く法的環境が進化するにつれて、規制に準拠するために変更を加える必要があるかもしれませんが、尊厳と全ての人々への敬意という私たちの指針、そしてその目標に向けた私たちの取り組みは決して揺らぐことはありません」とCook 氏は年次株主総会の質疑応答セッションで語りました。
彼は、Appleが雇用において「クォータ制」を使用していないことに言及しました。これは最も激しい批判を浴びてきた慣行の一つですが、同社の強みは「多様な背景や視点を持つ人々が一緒になる文化」から生まれていると述べました。
「私たちは引き続き協力して、誰もが最高の仕事ができる帰属意識の文化を創造していきます」と彼は付け加え、同社は「私たちのアイデンティティを形作ってきた価値観に引き続きコミットしている」と述べました。
その他の株主提案と投資家の反応
投資家たちはまた、Appleのガイダンスに従い、他の3つの外部提案にも反対票を投じました:
- 倫理的AIデータ取得および使用に関する報告書
- 児童性的虐待素材を特定するソフトウェアとユーザープライバシーのコストと利益に関する報告書
- 慈善寄付に関する報告書
Apple株主が外部提案に投票する際にAppleの推奨から外れることは非常に稀です。投資家が最後にそうしたのは2022年で、当時はAppleの公民権への影響と従業員契約における秘密保持条項の使用についての監査に賛成票を投じました。
また、今回の総会でCook CEOは、Appleが年次配当の増加を継続して計画していることを強調しました。
まとめ
企業の社会的責任と株主価値の創造は必ずしも対立するものではなく、むしろ持続可能なビジネスモデルの構築において相互に補完し合う関係にあると言えるでしょう。Appleの事例は、強い企業文化と明確な価値観が、激しい競争や社会的・政治的圧力の中でも一貫した経営方針を維持するための重要な基盤となることを示しています。
(Via 9to5Mac.)
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