音声メッセージを送る時、「Dave & Buster’s」や「H&M」のようなアンパサンド記号を含むブランド名を発言すると、相手に届かない現象が報告されています。

このAppleのiMessageに影響するバグについて、原因と対処法を詳しく解説します。

iMessageの音声メッセージが届かない不思議な現象

最近、iPhoneユーザーの間で奇妙な現象が報告されています。友達に「H&Mでセールをやっているよ」と音声メッセージを送信しても、相手には何も届かないというのです。実は、これはただの偶然ではなく、Appleの「メッセージ」アプリに存在するバグが原因だということが明らかになりました。


アンパサンド(&)を含むブランド名やフレーズを音声メッセージで送ると、メッセージは送信されたように見えますが、実際には相手に届いていないのです。送信相手の画面では、数秒間「入力中」の表示が出た後、何も表示されなくなります。

多くのユーザーは「メッセージが届かなかった」と思い、再送信を試みるものの、同じ内容では結果は変わりません。

このバグは、「Dave & Buster’s」「H&M」「ティファニー&カンパニー」など、アンパサンドを含む店舗名やブランド名を音声メッセージで話した時にだけ発生します。テキストメッセージでは問題なく送信できるので、より不思議に感じる人も多いでしょう。

なぜアンパサンドが問題を引き起こすのか?

この問題の原因は、音声そのものではなく、音声メッセージに自動的に付与される文字起こし(トランスクリプション)にあります。Appleの音声認識システムは、有名なブランド名を認識すると、自動的にアンパサンド記号を挿入します。

例えば「エイチアンドエム」と発言すると、トランスクリプトには「H&M」と表示されるのです。

ところが、このアンパサンド記号がメッセージのコード内で正しくフォーマットされていないことが問題を引き起こしています。技術的に説明すると、メッセージアプリはXHTML形式を使ってメッセージ内容をフォーマットしていますが、XHTMLではアンパサンド記号には特別なルールがあります。

正しいフォーマットは「&」ですが、Appleの文字起こしエンジンは単純な「&」を挿入してしまうのです。このフォーマットエラーにより、iOSのセキュリティレイヤーである「BlastDoor」システムが、メッセージの配信をブロックしてしまいます。

Appleのセキュリティ対策が正しく機能している証拠

デベロッパーのGuilherme Rambo氏が報告し、Search Engineポッドキャストでも議論されたこの問題は、実はセキュリティの脆弱性というよりも、設計通りに動作しているシステムの一例といえます。

BlastDoorは、害を及ぼす可能性のある不正確にフォーマットされたデータを拒否することで、ユーザーを保護するように構築されています。これには、エスケープされていないアンパサンドを含む音声メッセージのトランスクリプトも含まれるのです。

BlastDoorはこの不正なフォーマットを潜在的な攻撃の試みとして扱い、セキュリティ侵害のリスクを避けるために、メッセージの処理を単純に停止します。そのため、受信者は「入力中」のアニメーションだけを見て、実際のメッセージを受け取ることはありません。

対処法と今後の展開

週末にDave & Buster’sでの予定を立てようとしているときには、特にイライラするかもしれないこのバグですが、データの整合性に関するAppleのシステムがいかに慎重であるかを示す良い例でもあります。

Appleがトランスクリプションのフォーマットを修正するまでの間の対処法は簡単です。

アンパサンド(&)を含む名前を言及する場合は、音声メッセージを使わないようにしましょう。以下に具体的な回避策をいくつか紹介します:

  • 「H&M」と言う代わりに「HアンドM」や「エイチアンドエム」と発音する
  • アンパサンドを含むブランド名は、テキストメッセージで送信する
  • 「デイブ アンド バスターズ」のように、「アンド」と発音して間に空白を入れる
  • どうしても音声で伝えたい場合は、「あのゲームセンターみたいなレストラン」など、別の言い方で説明する

Appleは今後のiOSアップデートでこの問題を修正する可能性が高いですが、それまでの間はこれらの対処法を覚えておくと便利でしょう。

まとめ

iPhoneの「メッセージ」アプリにおける音声メッセージのバグは、一見するとただの不具合のように思えますが、実はAppleのセキュリティシステムが正しく機能している証拠でもあります。
アンパサンド(&)を含むブランド名やフレーズを音声メッセージで送ると配信されない現象は、音声の文字起こし機能とXHTMLフォーマットの相互作用によって引き起こされています。

このバグはテキストメッセージには影響しないため、当面の対処法としては、重要な内容を伝える際は音声よりもテキストを使用するか、アンパサンドを含む表現を避けるのが賢明です。

Appleの厳格なセキュリティ対策は時に不便を生じさせることもありますが、ユーザーのデータと安全を守るために重要な役割を果たしています。
このような小さなバグがあっても、総合的に見ればiPhoneのメッセージングシステムは安全性と使いやすさのバランスが取れていると言えるでしょう。

(Via The Mac Observer.)


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