米国とヨーロッパの関係が微妙な時期を迎える中、テクノロジー業界の巨人たちが規制の網に引っかかっています。

今回は、EUがAppleとMetaに対して行おうとしている制裁措置と、その背景にある国際関係について詳しく見ていきます。

EUによる制裁の見通しとその背景

AppleとMeta Platforms Inc.(旧Facebook)は、来週末までに欧州連合(EU)のデジタル市場法に基づく制裁金を課される見込みです。

特にAppleにとっては、一度きりの制裁金だけでなく、継続的な罰金が科される可能性も出てきました。Bloomberg Newsが「状況に詳しい情報筋」を引用して報じたところによると、EU当局は両社に対し、これまでの独占禁止法違反の制裁に比べると比較的小規模な罰金を課す方針だということです。


この動きには明確な理由があります。EUはデジタル規制を強化したい一方で、米国のドナルド・トランプ大統領との関係悪化は避けたいという難しい立場に置かれています。

トランプ大統領は米国のテクノロジー企業に対する「不釣り合いな」制裁があれば、報復としてEUに重い関税を課すと警告していたのです。

実際、トランプ大統領は来週にも広範囲にわたる「互恵的関税」を導入する予定で、これにはテクノロジー規制も含まれる可能性があります。このような国際的な緊張状態の中でEUの決定が下されようとしているのです。

Appleが直面する特殊な状況

EUのデジタル市場法に基づく今後の制裁金は高額になる見通しはないものの、特にAppleにとっては評判に関わるより広範なリスクが存在します。

情報筋によると、Appleへの制裁には「定期的な罰金支払い」が伴う可能性が高いとのことです。これは、一度きりの罰金ではなく、継続的に発生する可能性のある罰金を意味しています。

欧州の規制当局は以前にもAppleに対してこのような継続的な罰金を科したことがあります。Appleとオランダの競争当局との間で起きたアプリに関する長期にわたる争いでは、連続して週ごとの罰金が課され、それが数ヶ月間続き、最終的に最大5,000万ユーロ(約80億円)の罰金に達したこともあります。

国際関係の複雑な駆け引き

EUの官僚たちは現在、厳しい立場に追い込まれています。トランプ政権は以前から米国のテクノロジー企業に対するEUの過度な規制に警告を発していました。

2月21日には、トランプ大統領が「米国企業とイノベーターを海外からの恐喝と不当な罰金・制裁から守る」という指令を出し、ヨーロッパに対して関税を課す可能性を示唆しました。これは彼が「海外からの恐喝」と呼ぶ、米国のテック企業に対するデジタルサービス税や罰金、慣行、政策に対抗するためだとされています。

また、関連情報として「Appleのティム・クックCEOがEUの170億ドル(約2.6兆円)の罰金について不満を訴えるために電話してきた」とトランプ大統領が述べたという2024年10月17日の報道もあります。

EUの存在意義と批判

欧州連合が生まれたのは、ヨーロッパ諸国が単独で世界の他の地域と競争できなかったからだ。彼らはそれぞれ国家主権や独自の文化、尊厳を放棄し、非民主的で不透明、無駄が多く、肥大化した官僚的な準政府的組織に身を委ねた。そして、EUが様々な形で介入しているにもかかわらず、彼らはまだ競争できていない

と辛辣な見解での批判もあります。

今後の展望と影響

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この一連の動きは、グローバルなテクノロジー規制の難しさを浮き彫りにしています。一方では、巨大テクノロジー企業の市場支配力に対する懸念があり、他方では国際関係や貿易のバランスを維持する必要性があります。

Appleにとって今回の制裁は金額的には大きな打撃とならないかもしれませんが、継続的な罰金の可能性やEUでのビジネスモデルに影響を及ぼす規制変更は、長期的には重要な課題となるでしょう。

また、EUと米国の関係性がこの問題によってどのように変化するかも注目すべき点です。テクノロジー分野における規制のあり方は、両者の貿易関係全体に波及する可能性があります。

今後も両者の駆け引きは続くことが予想されますが、最終的には国際的な協力と調和のとれた規制フレームワークの構築が必要となるのではないでしょうか。

(Via Bloomberg.)


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