Apple Vision Pro、SONYとの提携でVRゲームを強化？新たな可能性を探る

Apple Vision Proが発売されてから約1年が経過し、その進化の方向性が徐々に明らかになってきました。

特に注目を集めているのが、ゲーミング分野への本格参入です。Mark Gurman の Power On ニュースレターによると、AppleはSONYと協力し、PlayStation VR2のコントローラーをVision Proに対応させる計画を進めているとのことです。

この動きは、空間コンピューティングデバイスとしてのVision Proの可能性を大きく広げる可能性を秘めています。

Vision Proの現状とゲーミングにおける課題

Vision Proは、その革新的な技術と洗練されたデザインで多くの注目を集めてきました。しかし、販売数は予想を下回り、2024年末までの累計で約42万台程度にとどまる見込みです。さらに懸念されているのが、購入者の使用頻度が期待を下回っているという点です。

現在のVision Proには、ゲーミングデバイスとして2つの大きな課題があります：

コンテンツの不足
専用コントローラーの欠如

特にコントローラーの問題は深刻です。現状のVision Proは、アイトラッキングとハンドジェスチャーによる操作を基本としています。

確かにこの操作方式は直感的で革新的ですが、ゲーミングにおいては精密な操作が難しいという課題があります。現在対応しているPS5やXboxのコントローラーは、リビングルームでのコンソールゲーム向けに最適化されており、VR空間での操作には必ずしも適していません。

SONYとの提携：新たな可能性の開拓

この状況を打開するため、Appleは2024年初頭からSONYとの提携を開始しました。両社の協力関係は、主に以下の3つの側面で進められています：

1. PlayStation VR2コントローラーの対応

AppleとSONYは、PlayStation VR2の専用コントローラーをVision Proで使用できるようにする開発を進めています。このコントローラーは6自由度（6DOF）に対応しており、VR空間での精密な操作を可能にします。これにより、従来のゲームコントローラーでは実現できなかった、より没入感のある体験が可能になります。

2. visionOSの進化

将来のvisionOSアップデートでは、サードパーティ製ハンドコントローラーの対応が予定されています。これは単なるゲーム用コントローラーの対応だけでなく、OSの基本操作にも及びます。例えば：

サムスティックやデジタルパッドによるスクロール操作
トリガーボタンによる項目の選択（指のピンチ動作の代替として）
より精密な3D空間での操作が可能に

3. 開発者エコシステムの拡大

Appleはサードパーティデベロッパーにも積極的にアプローチしており、新しいコントローラー対応のゲーム開発を促しています。これは単にハードウェアの対応だけでなく、Vision Pro向けの質の高いコンテンツ制作を促進する取り組みの一環です。

Appleの独自開発の取り組み

興味深いことに、Appleも独自のコントローラー開発を検討していました。デザインチームは数年にわたり、Vision Pro用の「ワンド」（杖状のデバイス）のプロトタイプを開発していたことが明らかになっています。これはApple Pencilに似た精密操作用ツールとして構想されていたもので、ゲーミング用というよりは生産性向上を目的としたものでした。