GPT-4.5 Orionとは?

OpenAIは最新のAIモデル「GPT-4.5 Orion」を発表しました。これは同社がこれまでにリリースした中で最大規模のモデルであり、これまで以上の計算能力とデータを活用してトレーニングされています。

主要な特徴

  • 大規模なデータと計算資源の活用:従来のGPTシリーズと同様に、大量のデータを用いた事前学習(unsupervised learning)によって開発されました。
  • 「フロンティアモデル」ではないとする立場:OpenAIは、GPT-4.5を最先端のAIモデル(フロンティアモデル)とは位置付けていません。
  • ChatGPT Pro向けに提供開始:月額200ドルのChatGPT Proプランのユーザーは、すでにGPT-4.5を利用できます。
  • ChatGPT PlusとChatGPT Teamに登録しているユーザー:来週中にこのモデルにアクセスできるようになる予定です。
  • APIの利用コスト:GPT-4.5のAPI利用は非常に高額で、100万トークンあたり75ドル(入力)および150ドル(出力)と設定されています。

GPT-4.5の性能と限界

GPT-4.5 Orion_03.

高性能ながら限界も

GPT-4.5は、数学・文章生成・プログラミングといった領域で高い性能を示していますが、最新のAI推論モデルと比較すると限界も指摘されています。

  • 数学・科学問題に強み
  •   – 数学や科学関連の問題において、他のモデルと比較して高いパフォーマンスを発揮。

  • 推論能力の課題
  •   – DeepSeek、AnthropicのClaude 3.7 Sonnetなど、最新の推論モデルと比較すると、特定のベンチマークで劣る。

  • コーディング能力の比較
  •   – SWE-Bench VerifiedではGPT-4oやo3-miniと同等の性能を示すが、AnthropicのClaude 3.7 Sonnetには及ばない。
      – SWE-LancerではGPT-4oやo3-miniを上回るが、OpenAIのDeep Researchには劣る。

GPT-4.5のユニークな特長

OpenAIによると、GPT-4.5は「人間の意図を理解する能力」において優れており、他のモデルには見られない特長を持っています。

  • 自然で暖かみのあるトーン:
  •   – GPT-4.5は、感情表現やクリエイティブなタスクにおいて、より人間らしい応答が可能。

  • SVG生成能力:
  •   – 実験では、GPT-4.5のみが数学的なコードを用いてユニコーンのSVG画像を生成することに成功。

  • ソーシャルな配慮:
  •   – 「試験に落ちて落ち込んでいる」という入力に対し、最も適切な応答を生成。

AI業界の展望とGPT-4.5の役割

GPT-4.5の登場は、AI業界において重要な転換点となる可能性があります。
GPT-4.5 Orion_04.

「スケーリングの法則」の限界

OpenAIの共同創業者であるIlya Sutskever氏は、「すでに学習可能なデータの上限に達している」と発言しており、今後のAIモデルは、従来のスケーリング手法だけでは性能向上が難しくなると予想されています。

推論モデルとの統合へ

OpenAIは、GPTシリーズのモデルと「o」推論モデルを統合し、GPT-5の開発を進める予定です。GPT-4.5は単体でAI業界のベンチマークを支配するモデルとは言えないものの、今後のより強力なAIモデルの布石と見られています。

まとめ

GPT-4.5 Orionは、OpenAIが開発した最新のAIモデルであり、数学、文章生成、コーディングといった分野で優れた性能を示しています。
しかし、最新の推論モデルと比較すると限界もあり、AI業界における「スケーリングの法則」の終焉を示唆する要素もあります。

OpenAIは、今後GPT-5に向けた統合モデルの開発を進めていく方針であり、GPT-4.5はその過程の一部としての役割を果たすことが期待されています。

(Via OpenAI.)


LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)