Appleに激震!App Store裁判でまさかの「命令違反」認定、判事が激怒した理由とは?

「まさかAppleが…」そんな声が聞こえてきそうな、衝撃的なニュースが飛び込んできました。iPhoneでおなじみのAppleが、以前の裁判所の命令に違反したとして、担当判事から、ものすごく厳しい判断を下されたのです。
しかも、その内容はApple経営陣の判断ミスや、なんと偽証まで指摘されるという、前代未聞の事態に発展しています。
この記事では、一体何が起こったのか、なぜ判事はこれほどまでに怒っているのか、そして今後のAppleにどんな影響があるのかを、解りやすく解説していきます。
ちょっと難しい話も出てきますが、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
衝撃の判決:Apple、裁判所命令違反で断罪される
今回、厳しい判断を下したのは、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所の Yvonne Gonzalez Rogers 判事です。判事は、Appleが2021年に出された裁判所命令(差し止め命令)に意図的に違反した、と結論付けました。
判事が書いた80ページにも及ぶ判決文は、法律の文書としては異例なほど、強い言葉でAppleを非難しています。原文には「excoriating」(痛烈な、酷評する)という表現が使われており、判事の怒りがひしひしと伝わってくる内容なんです。普通、裁判官はもっと冷静な言葉を使うものですが、今回はよほどのことだったのでしょう。
判決文の冒頭から、その厳しさがうかがえます。判事は、Appleが裁判所の命令を骨抜きにし、結局は自分たちの利益を守ろうとした、と厳しく指摘しています。まるで、「ルール違反もいい加減にしろ!」と言わんばかりの剣幕です。
何が問題だったのか?Appleの「巧妙な」回避策
そもそも、ことの発端は何だったのでしょうか?話は2021年に遡ります。人気ゲーム「フォートナイト」で知られる Epic Games 社が、「AppleのApp Storeのやり方は独占的だ!」と訴訟を起こしました。この裁判自体は、多くの点でAppleが勝訴したのですが、一つだけ重要な指摘がされました。
それは、「アプリの開発者が、App Storeの外(例えば自社のWebサイト)で行っている割引販売などについて、アプリ内でユーザーに知らせたり、簡単にリンクで誘導したりすることを、Appleが禁止しているのはおかしい」という点です。
これを「反ステアリング条項」と呼びますが、判事はこれを「反競争的だ」として、禁止するようAppleに命じました。つまり、「アプリの外でもっと安く買える情報があるなら、それをユーザーに伝えてもいいよ」という、ごく当たり前のことを認めたわけです。
ところが、Appleの対応は判事の意図とは全く異なるものでした。Appleは表向きは命令に従うフリをしつつ、実際には開発者がユーザーを外部サイトへ誘導しにくくするような、新たなルールをたくさん作ったのです。
具体的には、
- 高額な手数料の新設: アプリ外のWebサイトで購入した場合でも、Appleに27%もの手数料を支払わなければならない、というルールを導入しました。以前は無料だったのに、です。しかも、リンクをクリックしてから7日間はこの手数料が適用されるという念の入れよう。これでは、開発者にとって外部誘導のメリットがほとんどなくなってしまいますよね。
- 警告画面と手続きの煩雑化: ユーザーが外部リンクをクリックしようとすると、大きな警告画面(いわゆる「スケアスクリーン」)を表示したり、リンク先のURLを自由に設定させなかったり、手続きをわざと面倒にしたりしました。これでは、ユーザーも「なんか怖いな」「面倒だな」と思って、外部サイトに行くのをためらってしまいます。
判事は、これらのAppleの行動を「裁判所命令を回避し、以前から問題視されていた反競争的な収益の流れを維持するための、意図的なものだ」と断じました。要するに、「小手先のルール変更で、結局は高い手数料を取り続けようとしているだけじゃないか!」と見抜いたわけです。
判事の怒り爆発:「偽証」と「意図的な無視」
判決文を読むと、Yvonne Gonzalez Rogers 判事がAppleに対して、単なる命令違反だけでなく、その対応の仕方に強い不信感と怒りを抱いていることがよくわかります。
特に問題視されたのが、Apple幹部による「偽証」、つまり法廷で嘘の証言をした疑いです。判決文では、Appleの財務担当副社長(当時)であった Alex Roman 氏の名前を挙げ、彼が手数料導入の経緯などについて「全くの嘘」や「誤解を招く証言」を繰り返したと、厳しく指摘しています。
例えば、Roman氏は「外部での購入に課す手数料の具体的な率(27%)は、発表当日の2024年1月16日まで決まっていなかった」と証言しました。しかし、判事が確認したApple内部のビジネス文書によると、実際には手数料率を含む計画の主要部分は、なんと半年前の2023年7月には決定されていたというのです。これは、明らかに矛盾しています。
さらに驚くべきことに、判決文は、Appleとその弁護団が、この明らかな嘘を訂正しようとしなかったことも問題視しています。「嘘だと分かっていながら放置したのだから、会社全体として嘘を認めたものとみなす」とまで言い切っているのです。
そして判事は、この Alex Roman 氏の偽証疑惑について、刑事事件として捜査するべきかどうかを検討するよう、連邦検察庁に付託(判断を委ねること)しました。もし偽証罪で有罪となれば、個人の責任が問われるだけでなく、Appleの評判にもさらなる傷がつくことになります。まさに、踏んだり蹴ったり、という状況です。
判事は、Appleの一連の行動を「意図的な命令無視」であり、「裁判所への侮辱」だと断じています。「裁判所の命令は交渉の対象ではない。一度決定されたことに、意図的に従わないという選択肢はないのだ」という強いメッセージが込められているのです。
Apple内部の対立:良識派 Schiller vs 経営陣
今回の判決で、もう一つ興味深い点が明らかになりました。それは、この問題に対するApple社内での意見の対立です。
判決文によると、Appleの重鎮であり、長年マーケティング部門などを率いてきた Phil Schiller 氏は、裁判所の命令に従い、アプリ外購入に新たな手数料を課すべきではない、と主張していたというのです。
Schiller氏は、実際にEpic Gamesとの裁判を最初から最後まで傍聴し、判決文も熟読していた人物です。彼は、判事の意図を理解し、法的なリスクも感じていたのかもしれません。
しかし、当時の最高財務責任者(CFO)であった Luca Maestri 氏や、前述の Alex Roman 氏ら財務チームは、手数料を課すことを強く主張しました。そして最終的に、CEOである Tim Cook 氏は、Schiller氏の意見ではなく、Maestri氏ら財務チームの提案を受け入れる決定を下したのです。
このTim Cook氏の判断について、判事は判決文の中で「Cook chose poorly(Cookは選択を誤った)」と、極めて異例な表現で批判しています。企業のトップの判断を、裁判官がここまで直接的に批判するのは、本当に珍しいことです。
ちなみに、この Luca Maestri 氏は、2024年8月にCFOを退任しています。当時は「計画的な後継者への移行」と発表されていましたが、今回の判決で彼が中心的な役割を果たしていたことが明らかになった今、「事実上の更迭だったのでは?」という見方も出てきています。
裁判官から「トップに間違った選択をさせた」と指摘されるような人物が、そのまま要職に留まるのは難しい、ということなのかもしれません。
判決文を読む限り、Phil Schiller 氏はApple社内における「唯一の良識派」「正直者」として描かれています。判事は、Schiller 氏の主張こそが、本来Appleが取るべき道だった、と考えているようです。もし彼がいなければ、Appleの状況はもっと悪くなっていたかもしれません。
今後の影響:App StoreビジネスとAppleの評判
さて、この厳しい判決は、今後のAppleにどのような影響を与えるのでしょうか?
まず、判決によって、Appleが導入しようとしていた新しいルール(27%の手数料、開発者のコミュニケーション妨害策)は、即時禁止されました。開発者は、App Storeの外での購入オプションについて、より自由にユーザーに情報を伝え、誘導できるようになります。
では、これでAppleのApp Storeビジネスは大打撃を受けるのでしょうか? 実は、多くの専門家は「そこまで大きな影響はないかもしれない」と考えています。なぜなら、今回の判決は、あくまで「不当な妨害はやめて、Webサイトでの販売などと公正に競争しなさい」と言っているだけだからです。
Epic GamesのTim Sweeney氏が望んでいたような、「App Store以外のアプリストアを認めろ」とか「手数料をゼロにしろ」といった抜本的な変更を命じているわけではありません。判事が求めているのは、皮肉にも、Apple内部の良識派である Phil Schiller 氏が主張していたことと、ほぼ同じ内容なのです。
しかし、ビジネスへの直接的な影響は限定的だとしても、Appleの評判と信頼性にとっては、計り知れないほどのダメージと言えるでしょう。「ルールを守らない企業」「裁判所を欺く企業」というイメージは、長年かけて築き上げてきたクリーンで革新的なブランドイメージを大きく損なう可能性があります。特に、Tim Cook CEOのリーダーシップに対する疑問の声も上がりかねません。
今回の件で唯一の救いは、Phil Schiller 氏のような人物がまだApple内部にいる、ということかもしれません。彼のような声が今後、Appleの意思決定においてどれだけ尊重されるかが、失われた信頼を取り戻す鍵となりそうです。
まとめ
そしてその結果として、いかに司法の厳しい鉄槌を下されたかを、まざまざと示しています。
- 裁判所命令の意図的な無視: Appleは2021年の命令に対し、抜け道を探すような形で対応し、反競争的な状態を維持しようとした。
- 偽証疑惑: 幹部が法廷で嘘の証言をした疑いが指摘され、刑事訴追の可能性も浮上。
- 経営判断のミス: Tim Cook CEOは、社内の良識的な意見よりも、短期的な利益を優先する財務チームの意見を採用し、「選択を誤った」と判事に断じられた。
- 評判への大ダメージ: ビジネスモデルへの直接的な影響は限定的かもしれないが、企業としての信頼性は大きく揺らいだ。
判決文の最後は、次のような言葉で締めくくられています。
Appleは意図的に裁判所の命令に従わないことを選択した。それは、価値ある収益源(以前、反競争的と判断されたもの)を維持するという明確な意図を持って行われた。裁判所がそのような不服従を許すとAppleが考えたのは、重大な計算違いであった。いつものことながら、隠蔽工作は事態をさらに悪化させた。この裁判所にとって、二度目のチャンスはない。
まさに、司法の厳しい姿勢を示す言葉です。
今回の出来事は、どれだけ大きな企業であっても、法とルールを遵守することの重要性、そして司法の判断を軽視することのリスクを、改めて私たちに教えてくれます。
Appleがこの苦境を乗り越え、失われた信頼を回復できるのか、今後の動向に注目が集まります。
(Via DARING FIREBALL.)
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