CNNのニュースによると、トランプ大統領の新たな関税政策において、米国に輸入される電子機器が除外されることになりました。この決定は、多くのテクノロジー企業にとって朗報となっています。今回は、この政策変更の詳細とその影響について、分かりやすく解説していきます。
関税除外の詳細:どの製品が対象になるのか
米国税関・国境警備局(US Customs and Border Protection)が先週金曜日に発表した通知によると、スマートフォン、コンピューターモニター、そして様々な電子部品が関税対象から除外されることになりました。この除外措置は4月5日以降に米国に入国する製品や倉庫から出荷される製品に適用されます。
この除外措置は、トランプ政権が水曜日に中国からの輸入品に対して最低145%の関税率を課したことを受けてのものです。ただし、フェンタニル取引における中国の役割に対する20%の関税は引き続き適用されます。この関税除外はAppleのようなテクノロジー大手企業に大きな影響を与えることになります。
特にiPhoneなど中国で製造している製品を持つ企業にとっては重要な決定です。
テクノロジー業界への影響:専門家の見解
Wedbush Securitiesの推定によると、AppleのiPhone生産と組み立ての約90%が中国を拠点としています。これを考慮すると、今回の関税除外がAppleにとってどれほど重要かが分かります。
Wedbushのアナリストたちは土曜日に、この関税除外について「テクノロジー投資家にとって最高のニュース」と表現しました。彼らの声明によれば、「AppleやNvidia、Microsoftなどの大手テクノロジー企業や、テクノロジー業界全体がこの週末から月曜日にかけて大きな安堵のため息をつくことができる」とのことです。
また、「米国のテクノロジー産業にとって大きな前進であり、この週末に聞くことができた最も強気なニュース」と評価しています。
一方で、CNNの取材に対し、NvidiaとMicrosoftはコメントを控え、Appleは即座に返答しませんでした。
消費者への影響:価格上昇は回避できるか
グローバルスマートフォン出荷を監視する調査会社Counterpoint Researchによると、Appleは米国で最大6週間分の在庫を持っているとされています。もし関税が適用されていれば、その在庫がなくなった時点で価格の上昇が予想されていました。つまり、今回の除外措置によって、消費者が高額な電子機器を購入する際の追加コストが回避されることになります。
しかし、ホワイトハウスは土曜日の声明で、トランプ大統領は引き続きテクノロジー企業に米国での生産移転を促すとしています。
ホワイトハウス報道官のカロライン・リービットは次のように述べています。「トランプ大統領は、半導体、チップ、スマートフォン、ノートパソコンなどの重要な技術の製造を中国に依存することはできないとはっきり述べています。そのため、大統領はApple、TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)、Nvidiaなど世界最大のテクノロジー企業から米国への投資を確保しています。大統領の指示により、これらの企業はできるだけ早く米国国内での製造を開始するために奔走しています。」
トランプ大統領の関税政策:背景と目的
トランプ大統領は金曜日、エアフォースワンで記者団に対し、広範囲にわたる関税に例外が設けられる可能性があると述べていました。「明らかな理由でいくつかの例外があるかもしれませんが、10%は最低ラインだと思います」と大統領は言及しています。
経済学者たちは、関税のコストが最終的に消費者に転嫁される可能性があると警告しています。この懸念から、多くの米国人が自動車や電子機器などの大型商品を急いで購入するようになり、消費者心理は記録的な低水準に落ち込んでいます。
例えば、任天堂は4月4日、関税の潜在的な影響と変化する市場状況を評価するために、Switch 2ゲーム機の米国での予約開始日を延期すると発表しました。当初450ドルで価格設定されていたSwitch 2は、関税の結果として約600ドルになる可能性があると専門家は指摘しています。
製造業の国内回帰:現実と課題
トランプ政権によれば、これらの関税は米国により多くの製造業の仕事をもたらし、数十年にわたる衰退を逆転させるとしています。しかし、米国国内で簡単に製造や調達ができない製品もあり、米国の工場での生産コストが増加する可能性があります。
半導体やマイクロチップはコスト削減のためにアジアの工場に大きく外注されている製品の一つです。金曜日の通知によると、これらの電子部品は現在除外されています。この措置は台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)や韓国のサムスン、SKハイニックスなどのアジアの半導体メーカーを支援することになるでしょう。
ホワイトハウスの関係者は「大統領は、自動車、鉄鋼、医薬品、チップなどの特定の材料が公正かつ効果的に関税が適用されるよう、特定の関税に含まれると述べています」と説明しています。また、トランプ大統領はまもなく半導体輸入が国家安全保障に与える影響についての調査(セクション232調査として知られる)を命じるとのことです。
半導体産業への姿勢:TSMCへの批判
火曜日の共和党全国議会委員会のイベントで、トランプ大統領はバイデン政権が2022年のCHIPS and Science Act(半導体・科学法)の一環としてTSMCにフェニックスでの半導体生産のために66億ドルの補助金を与えたことを批判しました。トランプ氏はTSMCに資金を提供せず、「もしここに工場を建設しないなら、大きな税金を支払うことになる – 25%、おそらく50%、おそらく75%、おそらく100%」と伝えたと述べています。
テクノロジー業界と消費者にとっての意味
今回の関税除外措置は、テクノロジー業界、特に中国での生産に依存している企業にとって大きな救済となりました。消費者にとっては、当面の間、スマートフォンやコンピューターなどの電子機器の価格上昇を心配する必要がなくなったことを意味します。
しかし、トランプ政権の長期的な目標は依然として製造業の米国回帰にあり、テクノロジー企業に対する圧力は今後も続くでしょう。特に半導体産業への姿勢からは、国家安全保障の観点からも重要視していることがうかがえます。
この政策変更は、グローバルなサプライチェーンと国内生産のバランスをどう取るかという課題を浮き彫りにしています。消費者、企業、そして国家の利益をどのように調和させるかは、今後の政策展開の中で注目すべき点となるでしょう。
(Via CNN.)
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