DeepSeek AIとは?ChatGPT類似サービスとして登場

近年、AI技術の進化は目覚ましく、私たちの生活にも様々な形で浸透してきています。特に、OpenAIが開発したChatGPTは、自然な会話ができるAIチャットボットとして、世界中で大きな話題となりました。

そんな中、ChatGPTのライバルとして注目を集めているのが、今回ご紹介するDeepSeek AIです。
DeepSeek 04.
DeepSeek AIは、中国の企業によって開発されたAIチャットボットで、ChatGPTと同様に、質問に答えたり、文章を作成したり、様々なタスクをこなすことができます。特に、DeepSeek AIの最新モデルは、ChatGPTにも匹敵する高度な推論能力を持つと評価されており、その性能の高さから、AI業界内外で注目を集めています。


AI技術の競争が激化することは、より高性能で安全なAIモデルの開発を促進し、私たち利用者にとってもプラスとなるでしょう。選択肢が増えることは、良いことだと言えます。

しかし、ChatGPT、Gemini、Claude、Meta AIなど、すでに多くの選択肢がある中で、DeepSeek AIを試してみようと考えている方は、少し立ち止まって考える必要があるかもしれません。

なぜなら、DeepSeek AIは中国企業によって開発・運営されており、利用にあたってはいくつかの注意点が存在するからです。

DeepSeek AIに潜むリスク:利用者が注意すべき点

中国製のソフトウェアを利用すること自体に問題はありません。TikTokはその良い例と言えるでしょう。しかし、TikTokは、中国製ソフトウェアがアメリカや欧米諸国でどのような状況に置かれる可能性があるかを示す例でもあります。

AIという要素が加わると、そのリスクはさらに高まる可能性があります。特に仕事や個人的なタスクで利用する場合は、慎重になるべきでしょう。

DeepSeek AIの最新モデル「DeepSeek-R1」は、コーディングや数学などの分野でChatGPT-o1よりも優れているとされています。また、価格もChatGPT-o1や他の中国製AIモデルよりも安価である可能性があり、競争力を持つと考えられています。しかし、DeepSeek AIには、利用者が注意すべきいくつかの懸念点が存在します。

過去にChatGPTと詐称?DeepSeek AIの出自に関する疑問

DeepSeek AIには、過去に自らをChatGPTであると偽っていた時期がありました。2023年12月頃、DeepSeek V3は、ユーザーに対して自身をOpenAIのGPT-4モデルであると説明していました。

この背景には、DeepSeek AIの学習データにChatGPTによって生成されたテキストが含まれていた可能性が指摘されています。

現在の生成AIは、学習データに基づいて言葉を予測し、文章を生成する仕組みです。もしDeepSeek AIがChatGPTの生成したテキストを大量に学習していた場合、ChatGPTの文章を模倣してしまうのは自然なことかもしれません。

さらに、生成AI全般に共通する問題として、「ハルシネーション」、つまり、事実に基づかない情報を生成してしまう現象があります。もしDeepSeek AIがChatGPTのハルシネーションを含むテキストを学習していた場合、誤った情報を生成したり、独自のハルシネーションを上乗せしてしまう可能性も否定できません。

また、他社のAIが生成したデータを学習に利用することに対する同意の問題も存在します。もっとも、他のAI企業も、著作権や同意について十分に配慮しないまま、Web上のコンテンツを無差別に収集しているという指摘もあります。

中国の規制と検閲の影響:情報操作のリスク

より深刻な問題は、中国のテクノロジー企業が、中国国内の法律、特に検閲を含む規制を遵守しなければならない点です。そのため、DeepSeek AIは、西側諸国のユーザーに対して、世界情勢などに関するバランスの取れた客観的な情報を提供できない可能性があります。

実際に、DeepSeek AIが中国政府の立場に沿った回答をしている例がオンライン上で報告されています。台湾問題などは、DeepSeek AIにとって特にデリケートなテーマのようです。また、中国国内で政治的に敏感なトピックに関する質問には、DeepSeek AIが回答を拒否する事例も確認されています。

これは、いずれ修正される可能性のあるAIのハルシネーションよりも深刻な問題です。なぜなら、検閲はDeepSeek AIのシステムに組み込まれてしまう可能性があり、情報操作や誤った情報の発信につながるリスクがあるからです。

DeepSeek AIが検閲された情報しか提供しない場合、ユーザーはそれをデフォルトの指示として受け入れざるを得ません。検閲を回避することも困難でしょう。これは、私たちがAIチャットボットに期待する体験とは大きく異なります。

TikTokの例を持ち出すと、TikTokのアルゴリズムは、中国を実際よりも良いイメージに描いているという指摘があります。同様のことが、AIを含む中国発の他の製品にも起こりうるかもしれません。
DeepSeek 02.

データプライバシーの懸念:中国国内法の影響

AIチャットボットとの対話におけるもう一つの大きな懸念は、ユーザーのプライバシーです。

ChatGPTとのチャット内容が、将来のAIモデルの学習に使用されることは避けたいと考えるユーザーもいるでしょう。また、プロンプトデータは安全に保管され、企業サーバー上での保存期間もできる限り短い方が望ましいはずです。

Appleが独自のChatGPTのようなチャットボット「Apple Intelligence」を導入すれば、プライバシーを重視するユーザーにとって魅力的な選択肢となるでしょう。

DeepSeek AIも、表面上は強力なプライバシーポリシーを掲げているとされています。しかし、DeepSeek AIが収集したデータは、中国国内で保管され、中国の法律が適用されます。TikTokと同様に、ユーザーデータを中国国内に保管すること自体が、アメリカ政府にとって懸念事項となっています。

それでもDeepSeek AIを試したい?代替案と注意点

DeepSeek AIは、まだ登場してから間もないAIチャットボットであり、その潜在能力は未知数です。もしかすると、今後、OpenAIのChatGPTを凌駕する存在になる可能性も秘めているかもしれません。しかし、現時点では、利用にあたって注意すべき点がいくつか存在します。

もしあなたが、どうしてもDeepSeek AIを試してみたいと考えているのであれば、以下の点に注意することをおすすめします。

  • **機密情報や個人情報は入力しない:** DeepSeek AIとのチャットには、仕事上の機密情報や個人のプライバシーに関わる情報は入力しないようにしましょう。
  • **情報源の一つとして利用する:** DeepSeek AIから得られた情報を鵜呑みにせず、他の情報源も参照し、情報の正確性を確認するように心がけましょう。
  • **検閲のリスクを理解する:** DeepSeek AIが中国の検閲の影響を受けている可能性があることを理解した上で利用しましょう。政治的にデリケートな話題や中国にとって都合の悪い情報については、DeepSeek AIの回答を鵜呑みにしないように注意が必要です。

DeepSeek AIに限らず、AIチャットボットはまだ発展途上の技術であり、様々なリスクが潜んでいます。AIチャットボットを利用する際は、常に批判的な視点を持ち、情報源の一つとして活用することが重要です。
DeepSeek 03.

まとめ

DeepSeek AIは、ChatGPTの有力なライバルとして登場したAIチャットボットですが、利用にあたっては、いくつかの注意点があることをご理解いただけたかと思います。
特に、中国企業が運営しているという点、検閲のリスク、データプライバシーの問題は、慎重に検討すべき要素です。

AI技術は急速に進化しており、今後も様々なAIチャットボットが登場するでしょう。
DeepSeek AIを含め、複数のAIチャットボットを比較検討し、それぞれの特徴やリスクを理解した上で、自分に最適なAIチャットボットを選択することが重要です。
また、AIチャットボットから得られる情報だけでなく、様々な情報源から情報を収集し、多角的な視点を持つように心がけましょう。

(Via BGR.)


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  1. By JB

    試しに天安門事件について質問しましたが、案の定回答を拒否されました。英語で日本語は使えるかと尋ねたらなんでも日本語で聞いてください、と返ってきたので質問したところ、これでした。記事中にもあるように、AIはもちろん、ネット上のどこに真実があるかは分かりませんね。

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