Macで何かを探すとき、「あのファイル、どこに保存したっけ?」と困った経験はありませんか?
これまでSpotlight SearchはRaycastのような高機能検索ツールと比べて物足りなさを感じていた人も多いでしょう。しかし、macOS Tahoeでついにその状況が変わりました。
✅ この記事でわかること
- Spotlight検索でできるようになった5つの新機能
- 仕事や日常作業を効率化する活用法
- 今すぐ試せるショートカットや実践のコツ
このあと紹介する新機能の中には、「え、それもできるの?」という意外なものも含まれています。
普段のMacの使い方が、確実に変わるかもしれません。
macOS TahoeでSpotlight Searchが大きく変わった理由
Appleは長年、Spotlight Searchの基本的な機能に留まっていました。ファイル検索とアプリ起動が主な用途で、それ以上のことを求めるユーザーは他社製ツールに頼らざるを得ませんでした。
しかし、macOS Tahoeでは状況が一変しています。Liquidライターの記者として数々のMac関連記事を執筆してきた私も、これほど大幅な機能追加は予想していませんでした。
新しいSpotlight Searchは、単なる検索ツールから「Mac操作の中央ハブ」へと進化を遂げています。Command + Spaceを押すだけで、これまで複数のアプリを行き来していた作業が一箇所で完結するようになったのです。
見た目は変わらないが中身は別物
新しいSpotlight Searchは、パッと見では従来と変わりません。しかし、Liquid Glass検索バーにマウスを合わせると、4つのメインボタンが現れます。
これらのボタンが、今回紹介する新機能の入り口となっています。それぞれCommand + 1〜4のショートカットキーでも呼び出せるので、慣れてくればキーボードから手を離すことなく操作できます。
では、具体的にどのような機能が追加されたのか、一つずつ見ていきましょう。
1. MacとiPhoneのアプリを一括検索・起動できるように
まず驚くのは、アプリの起動方法です。macOS Tahoeでは、これまでのLaunchpad(アプリがグリッド状に並ぶ画面)がなくなり、Spotlightに統合されました。
Command + SpaceでSpotlightを呼び出し、Command + 1を押すか、ボタンをクリックすると、インストールされているアプリが一覧で表示されます。
もちろん、これまで通りアプリ名を入力して検索・起動もできますが、この一覧性が意外と便利。そして、本当のすごさはここからです。
なんと、「iPhone Mirroring」機能を通じて、あなたのiPhoneにインストールされているアプリも、この画面から直接起動できてしまうんです。
例えば、デスクでMac作業に集中しているとします。その時、iPhoneに宅配便の不在通知や、二段階認証のコードがメッセージで届いたとします。これまでは、一度作業を中断してiPhoneを手に取り、ロックを解除してアプリを開く、という手間がありましたよね。
でもこれからは、キーボードから手を離さずに、Macの画面上でiPhoneのアプリを直接操作して確認できるんです。このシームレスな体験は、一度味わうと元には戻れないかもしれません。
2. 最近使ったファイルへ瞬時にアクセス
次に紹介するのは、ファイルへのアクセス方法の改善です。Spotlightは、あなたが最近開いたファイルを賢く追跡し、すぐにアクセスできるようにしてくれます。これもCommand + 2で簡単に呼び出せます。
「それって、ただの履歴機能でしょ?」と思うかもしれません。私も最初はそう思いました。しかし、単に時系列でファイルが並ぶだけではなく、アプリごとに分類してくれるのです。
例えば、ブログ記事を書いているときを想像してみてください。参考資料のPDFをプレビューで開き、記事に使う画像を写真アプリで確認し、テキストエディタで文章を書いています。
作業の途中で「さっき見ていた、あの統計データが載っているPDFをもう一度見たい」と思った時、これまではFinderの「最近使った項目」を探したり、ダウンロードフォルダを漁ったりしていませんでしたか。
しかし、新しいSpotlightなら、ファイル履歴画面で「プレビュー」の項目を見れば、最近開いたPDFがすぐに見つかります。この小さな時間短縮の積み重ねが、集中力を途切れさせず、1日の終わりには大きな差となって現れるはずです。
3. アプリを開かずに作業を完了
この機能こそが、新しいSpotlightを「操作ハブ」へと進化させた最大の立役者かもしれません。「App Intents API」という技術が強化されたことで、Spotlightから直接、様々なアプリの機能を実行できるようになったのです。
一番わかりやすい例は、メールの送信でしょう。Spotlightに「メールを送る」といった内容を入力するだけで、宛先、件名、本文を入力するフィールドがSpotlight内に表示されます。
そして、そのまま送信ボタンを押せば、メールアプリを一切開くことなくメールが送れてしまうのです。キーボードから手を離さずにタスクが完結するのは、想像以上に快適です。
さらに、この機能は「ショートカット」アプリと連携することで、その可能性を無限に広げます。例えば、あらかじめ「選択したテキストを要約してメモに保存する」というショートカットを作っておけば、Spotlightからいつでもその機能を呼び出せます。
もっと便利なのが、ショートカットアプリとの連携により、2文字のクイックキーを設定できます。「SM」と入力するだけでメッセージを送信、「AR」でリマインダーを追加といった具合です。
クイックキーの例:
- 「EM」:メール作成
- 「CA」:カレンダーイベント作成
- 「SC」:スクリーンショット撮影
この機能により、マルチタスクが当たり前の現代の仕事環境で、作業の中断時間を最小限に抑えられます。
4. やっと来た!純正クリップボード履歴でコピペ作業が快適に
Macユーザーが長年待ち望んでいた機能、それがついに純正で搭載されました。Spotlightに、クリップボードの履歴管理機能が組み込まれたんです。Command + Spaceのあと、Command + 4を押すだけで、過去にコピーしたテキストや画像が一覧で表示されます。
文章を書いたり、コーディングをしたりする人にとって、これは本当に嬉しいニュースではないでしょうか。無料のクリップボード管理アプリを使っていて、OSのアップデートで時々動作が不安定になることを経験した事はありませんか。
その点、純正機能として組み込まれた安心感は大きいです。動作もスムーズで、テキストだけでなく画像にも対応しているのが嬉しいポイント。複数の情報をあちこちからコピーしてきて、一つの場所に貼り付ける、といった作業が驚くほど楽になります。
もちろん、ClipyやPastebotのような高機能なアプリに比べると、定型文を登録しておくスニペット機能など、まだ足りない部分もあります。しかし、「コピーした履歴を呼び出す」という最も基本的なニーズに対しては、この純正機能で十分すぎるほどの価値を提供してくれます。
高機能なクリップボード管理アプリから乗り換えるかどうか悩む、一番のポイントはここかもしれません。
5. 賢くなった検索フィルタリング
最後の新機能は、検索結果の詳細なフィルタリングです。従来のSpotlight Searchでは、検索結果が混在して目当ての項目を見つけにくいことがありました。
macOS Tahoeでは、検索と同時にフィルターオプションが表示されます。
例えば「会議」と検索した場合、以下のフィルターが自動で提示されます:
- メール内の「会議」を検索
- カレンダーイベントの「会議」を検索
- Notes(メモ)内の「会議」を検索
- メニューバー項目の「会議」を検索
これにより、探している情報の種類に応じて効率的に絞り込めます。特に、同じキーワードが複数のアプリに散らばっている場合に威力を発揮します。
まとめ:小さな習慣が、大きな変化を生む
macOS TahoeのSpotlight Search改良は、単なる機能追加以上の意味を持ちます。これまで複数のアプリやツールに依存していた作業を一箇所に集約することで、真の意味での「統合デスクトップ体験」を実現しています。
重要なポイントを振り返ると:
- アプリランチャーの進化:MacとiPhoneアプリの統一管理
- ファイル管理の効率化:最近使用したファイルへの高速アクセス
- アプリ横断操作:アプリを開かずに作業完了
- 標準クリップボード履歴:長年の課題を解決
- インテリジェント検索:高度なフィルタリング機能
もうお分かりの通り、Spotlightは単なる「検索窓」から、Macのあらゆる操作の起点となる「コマンドセンター」へと生まれ変わろうとしています。
もちろん、まだ発展途上の部分もあり、Raycastのようなサードパーティ製アプリの高度なカスタマイズ性には及ばないかもしれません。しかし、多くの人にとって、この純正Spotlightの進化は、日々の作業をより快適で効率的なものに変えてくれるはずです。
秋に macOS Tahoeにアップデートしたら、まずはCommand + SpaceでSpotlightを開き、Command + 4を押してみましょう。
そこに表示される(かもしれない)クリップボード履歴が、あなたの最初の「新しいMac体験」になるはずです。この小さな一歩が、日々の作業効率を大きく変えるきっかけになるかもしれませんよ。
(Via Apple.)
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