コピー＆ペーストなどの様々な操作を効率化することができるアプリ「PopClip」のNick Moore氏は、3月20日をもってMac App Storeでの販売を終了することを発表しています

同氏は、PopClipフォーラムにて次のように語っています：

要約

• 本日をもって、PopClipはMac App Storeでの新規購入ができなくなりました。
• 最後にリリースされたバージョン（v2023.9）は、Mac App Store アカウントの「購入済み」セクションにあり、Mac App Store をご利用の全てのお客様がアクセス可能です。
• 本日中に次のバージョン2024.3をリリースする予定です。このバージョンはPopClipのWebサイトからダウンロードできます。アップグレードを希望されるMac App Storeのお客様は、PopClipのWebサイトから新しいアップデートをダウンロードし、MAS版の代わりに/Applicationsフォルダに入れてください。移行手順についてはこちらをご覧ください。
• また、PopClipはSetapp上でも公開されており、本日のアップデートはSetapp上でも公開されます。
• 重要：これはPopClipの終了ではありません！これはMac App Storeでの提供に関するものです。
• また、これはAppleをバッシングする記事ではありません。Mac App Storeが長年にわたって与えてくれた機会、アクセス、マーケティングサポートにとても感謝しています。Mac App Storeがなければ、このアプリは存在しなかったでしょう。

ついにその日が

いい旅でしたが、ついにその日がやってきて、PopClipのMac App Storeでの約13年間の旅は終わりを告げました

その理由は Appleのサンドボックスポリシー

理由は？Appleのサンドボックスポリシーにより、Mac App StoreでPopClipの新機能をアップデートできなくなったからです。

サンドボックスの歴史

2011年、AppleはmacOS（当時のOS X）にApp Sandboxingテクノロジーを導入しました。サンドボックスとは、アプリ同士を完全に隔離し、あるアプリが別のアプリの情報を制御したりアクセスしたりできないようにする技術です。

ご想像の通り、他のすべてのアプリから隔離されることは、PopClipにとって問題となります。PopClipが動作するためには、他のアプリで選択したテキストにアクセスする必要があります。さらに、PopClip で実行する多くのアクションは他のアプリも制御する必要があります。このため、PopClipをサンドボックス化することは、昔も今も不可能です。

2012年3月、Appleは2012年6月1日以降にMac App Storeに新規投稿されるすべてのアプリをサンドボックス化しなければならないと発表しました。しかし、すでにストアにあるアプリはそのままで、「バグ修正アップデート」を許可すると発表しました。

当時、このサンドボックスポリシーについて、技術系メディアや開発者の間でかなり大騒ぎになり、多くのアプリがその時点でストアを去りました。

当時、PopClipはまだ黎明期だったので、思い切った動きをしたくなかった私は、PopClipをストアに残して様子を見ることにしました。当時は他のアプリもいくつか作っていました。

限界への挑戦

2012年6月以来、私はPopClipのアップデートを何度もストアに提出しました。当初はバグフィックスがほとんどでした。ある時期から少し大胆になり、新しい機能を盛り込むようになりました。そして今まで、すべてApp Reviewにアップデートとして受け入れられてきました。

しかし、これまでずっと、App Reviewが「おい、それはバグフィックスじゃない！」と言う日を待っていました。

ターニングポイント

今日、その日がやってきました。ポリシーの変更なのか、たまたまいつもより潔癖なレビュアーが来ただけなのか分かりませんが、私の最新のアップデートは、このバージョンでは「バグフィックスとOSの新機能の採用」（後者は許可されているとは知らなかったので、以前の機能アップデートが受け入れられた理由かもしれません-例えば、明暗モードなど）に対処していないため、サンドボックスの実装が必要であるという理由で、これまでで初めて却下されました。

レビューチームは、私がアップデートから新機能を削除した場合、サンドボックスなしで受け入れられることも明らかにしました。

眠れぬ夜を過ごした後、私はPopClipがApp Storeを通さずに進むしかないと決断しました。

今後の展望

何が変わり、何が変わらないか

多くの点で、ほとんど変わりません。昨年、このWebサイトからライセンスキーを販売するために私自身のストアを立ち上げました。

App Storeの売上が減る分、ライセンスキーの購入で補えればと思っていますが、売上は純減になると予想しています。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。スタンドアロンダウンロードに移行しなければならなくなり、ご迷惑をおかけするMac App Storeのお客様には申し訳なく思っています。多くのお客様がMac App Storeからアプリを入手することを好まれ、Mac App Storeの利便性が失われることは承知しています。

しかし、Mac App Store外のPopClipはMac App Store内のPopClipと全く同じアプリですのでご安心ください。できるだけ簡単でシームレスに移行できるよう、最善を尽くします。

感謝と後悔

また、App Storeチーム、特に何度もPopClipを注目アプリに選び、PopClipを宣伝するスポットライト記事を追加してくれた編集チームに感謝します。

Appleは間違いなくPopClipに愛情を注いでくれました。PopClipとApp Storeが決別したことは残念ですが、これは本当に唯一の賢明な判断でした。

(Via PopClip Forum.)