Appleは先日、iPad miniをアップデートし、最新のA17 ProチップとApple Intelligenceへの対応を発表しました。

しかし、同時に期待されていた廉価版iPadのアップデートは行われませんでした。現行モデルは2年以上前の製品であり、なぜAppleはアップデートを見送ったのでしょうか？

iPad基本モデルの歴史：コストパフォーマンスの進化

iPadの基本モデル（エントリーモデル）の歴史を振り返ってみると：

• 2017年：第5世代iPadで現在の「エントリーモデル」の概念が確立
• 毎年のアップデート：性能向上とコストパフォーマンスの改善
• 2022年：第10世代で大幅リニューアル（デザイン刷新、USB-C採用など）

エントリーモデルの特徴

iPadの基本モデルは、以下のような特徴を持っています：

• 教育市場を重視
• 必要最小限の機能に絞り込み
• 比較的古いチップセットを使用（通常2年前のモデル）
• 手頃な価格設定（現行モデルは349ドル）

これらの特徴により、iPadの基本モデルは多くのユーザーに支持され、Appleの最も人気のある製品の一つとなっています。

なぜ新モデルの発売が見送られたのか？

Apple Intelligence対応の壁

Appleが新型iPadの発売を見送った最大の理由は、「Apple Intelligence」との互換性にあると考えられます。Apple Intelligenceとは、Appleが最近発表した新しいAI機能のことで、最新の製品マーケティングの中心となっています。

現行の第10世代iPadはA14チップを搭載していますが、これは発売時点ですでに2年前のチップでした。Appleの通常のパターンに従えば、新モデルにはA16チップが搭載されるはずです。しかし、A16チップはApple Intelligenceに対応していません。

チップ製造のキャパシティ問題

最新のiPad miniがA17 Proチップを搭載していることから、Appleは最新の3nmプロセスチップの生産能力に制限があることが推測されます。つまり、最新チップを最も安価な製品に搭載することは現実的ではないのです。

今後の展開予測：iPad第11世代はいつ登場する？

発売時期の予想

当初、多くの人々は2023年秋の発売を予想していましたが、それは実現しませんでした。その後、ディスプレイ専門家のRoss Young氏が2024年春の発売を示唆しましたが、BloombergのMark Gurman氏はさらに遅い時期を予測しています：

iPhone SEは3月に機能が追加されますが、エントリーレベルのiPadは今年後半に更新される可能性があります。

これらの情報を総合すると、新しいiPadの基本モデルは2025年秋に登場する可能性が高いと言えます。

予想される仕様

2025年秋の発売であれば、以下のような仕様が予想されます：

• A18チップ搭載（iPhone 16と同じチップ）
• Apple Intelligence対応
• 8GB以上のRAM

Appleの戦略から見える今後のiPadラインナップ

iPad miniとの関係

現行のiPad miniはA17 Proチップを搭載していますが、これはiPhone 15 Pro生産時の余剰チップを利用していると考えられます。iPad miniの販売数量はエントリーモデルよりも少ないため、このような戦略が可能なのです。

しかし、基本モデルのiPadがA18チップを搭載すると、iPad miniよりも高性能になってしまう可能性があります。そのため、Appleは2025年秋にiPad miniも同時にアップデートする可能性があります。

Apple IntelligenceがiPadにもたらす変化

Apple Intelligenceの導入により、iPadの使用体験は大きく変わる可能性があります。例えば：

• より高度な音声認識と自然言語処理
• 画像認識と生成AIの統合
• パーソナライズされた学習支援機能

これらの機能は、特に教育市場でiPadの価値をさらに高めることになるでしょう。

Appleの長期的な戦略

Appleが新型iPadの発売を見送ったのは、短期的な判断ではなく、長期的な戦略の一環だと考えられます。AI技術の進化に合わせて製品ラインナップを最適化し、ユーザーに最高の体験を提供するためのステップなのです。

(Via 9to5Mac.)