2024年の年末商戦、いわゆるホリデーシーズンのAppleの売上について、ちょっと心配な予測が出ています。
「え、Appleの売上が下がるの?!」
そう思った方もいるかもしれませんね。今回の記事では、なぜAppleの売上予測に暗雲が立ち込めているのか、その背景にある2つの大きな理由をわかりやすく解説していきます。
ホリデーシーズンの売上予測:期待外れの成長率?
アナリストたちの予測によると、2024年10月から12月期、つまりAppleの会計年度で第1四半期の売上成長率は、わずか3.8%にとどまる見込みです。
「え、3.8%成長なら十分じゃない?」
そう感じるかもしれませんが、実はこれ、Appleにとっては少し物足りない数字なのです。なぜなら、前の四半期(7月から9月期)の成長率は6.1%でした。成長率が鈍化しているということは、勢いが弱まっているサインとも言えます。
特にiPhoneの売上は、わずか1.9%増と予測されています。これは、前の四半期の5.5%増から大きく減速しています。iPhoneはAppleの稼ぎ頭ですから、この減速はApple全体に大きな影響を与える可能性があります。
売上減速の理由1:AI機能の遅延
今回の売上予測の陰りには、AI(人工知能)機能の遅延が大きく関わっています。
最近、スマートフォン業界では、AIが大きなトレンドになっています。GoogleやSamsungといったライバル企業は、AI機能を搭載した最新機種を続々と投入し、販売を伸ばしています。
AIは、カメラの性能を向上させたり、ユーザーの生活を便利にする様々な機能を提供したりと、スマホの魅力を大きく高める要素として注目されています。
しかし、Appleの最新iPhone 16シリーズには、発売時点で目立ったAI機能が搭載されていませんでした。また、AIを活用したSiriの改良版など、期待されるAIサービスの提供も、2025年後半以降にずれ込む見込みです。
AI開発の遅れが競争力低下に?
AI分野での出遅れは、Appleの競争力に影響を与えている可能性があります。
投資会社Aegon Asset Managementの投資マネージャー、Jane Hepburne Scott氏は、「AIは新たな技術革新であり、Appleの端末がAI機能で後れを取っていることは、競争力低下の重要な理由です」と指摘しています。
実際、Appleはニュース記事を要約するAIツールを公開しましたが、不正確な見出しが問題となり、公開停止に追い込まれるというトラブルもありました。AI技術の開発で、Appleが苦戦している様子が伺えます。
売上減速の理由2:中国市場での競争激化
もう一つの大きな理由は、中国市場での競争激化です。
中国はAppleにとって、米国、ヨーロッパに次ぐ第3位の巨大市場です。しかし、近年、中国市場でAppleは苦戦を強いられています。
その原因の一つが、中国のスマートフォンメーカーの台頭、特にHuaweiの復活です。Huaweiは、米国の制裁の影響で一時的に勢いを落としましたが、最新機種の投入により、再び存在感を増しています。
調査会社IDCのデータによると、2024年10月から12月期において、Appleの世界スマホ市場シェアは23%に縮小しました。前年同期はほぼ25%だったので、2%ポイントもシェアを落としたことになります。
中国市場でのシェア急落
特に深刻なのが中国市場です。中国市場でのAppleのシェアは、10%ポイントも急落し、17%となりました。
中国政府は、国内消費を促進するために、スマートフォン購入補助金を提供していますが、これらの補助金は、800ドル以下の低価格帯・ミドルレンジのスマホが対象で、高価なiPhoneは対象外です。これもAppleにとっては逆風となっています。
中国市場での苦戦は、Appleの業績に大きな影を落としています。
アナリストの見解:株価にも影響
iPhone需要への懸念は、Appleの株価にも影響を与えています。2024年1月に入り、Appleの株価は5%も下落しています。
アナリストたちは、為替レートの影響も懸念しています。米国のMaxim Groupのアナリスト、トム・フォルテ氏は、「売上の50%以上が米国大陸以外から来るため、12月期にユーロや円に対して米ドルが強くなったことは、Appleが市場予想を上回る売上を報告することをより困難にする可能性があります」と指摘しています。
まとめ
売上減速の主な理由は2つ
- AI機能の遅延:AI分野での出遅れが、スマホの競争力に影響を与えている可能性
- 中国市場での競争激化:Huaweiなどの中国メーカーの台頭により、市場シェアが急落
もちろん、これはあくまでアナリストの予測であり、Appleが今後どのような戦略で巻き返すかは未知数です。
AI分野での巻き返し、中国市場での新たな展開など、今後のAppleの動向から目が離せません。
(Via Reuters.)
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