折りたたみiPhoneは“4カメラ+Touch ID+自社C2モデム”で2026年登場?

折りたたみiPhoneは“4カメラ+Touch ID+自社C2モデム”で2026年登場?

2025年8月24日(米国時間)にかけて、BloombergのMark Gurman氏のニュースレターを下敷きに、9to5Macなど複数メディアが「Appleの初代折りたたみiPhoneは2026年に発売、4基のカメラ、Face IDではなくTouch ID、自社製セルラーモデム採用」といった要点を報じました。

なぜその仕様が妥当と見なされるのか、他ラインアップとの関係、技術的制約とビジネス上の狙いまでを整理します。なお現時点の情報はあくまで未発表製品に関する噂であり、前提は変動し得ます。

何が報じられたのか

要点は次のとおりです。

  1. 本体は“本のように開く”ブック型で、合計4基のカメラ(外側2+外画面1+内側1)構成、
  2. 生体認証はFace IDではなくサイドボタン型のTouch ID、
  3. 通信はApple自社設計の次世代「C2」モデムを搭載、
  4. eSIM専用(物理SIMスロットなし)になる地域が広がる見込み、
  5. 価格帯は他社最上位折りたたみ同等かそれ以上、
  6. 2026年の発売を想定し、早ければ2026年初頭に量産準備という見立てです。

これらはGurman氏の記述と、9to5MacやMacRumorsの整理に基づきます。

なぜFace IDではなくTouch IDなのか:薄型化が招く「スペース配分の現実」

折りたたみ機は「閉じたとき厚い」と評価が割れやすいカテゴリです。Appleが目指す厚みは閉じて9〜9.5mm、開いて4.5〜4.8mmとされ、従来iPhone史上でも相当薄いレベル。TrueDepth一式(投光器・赤外線カメラ等)を二系統で搭載するのはスペース的に厳しく、かつヒンジ周辺のレイアウト自由度も奪います。

そこでiPad系で実績のあるサイドボタンTouch IDへ回帰という判断は、筐体設計のスペースは遺文の現実として合点がいきます。

さらに、折りたたみでは「閉じた状態」と「開いた状態」の双方で生体認証が自然に使えることが重要です。片側にFace IDを積んでも、もう片側で同等体験を再現するには二重実装が要り、厚さ・重量・コストのトレードオフが悪化します。

Touch ID一本化はどちらの姿でも同じ操作でロックを解錠できるという体験の一貫性にも寄与します。この指摘はGurman報道と9to5Macの解説にもにじみます。

4カメラ体制の合理性:役割分担で“閉じても開いても主役級”

報道が伝える「4カメラ」は、折りたたみ特有の使い方に応えるための常に使える主力です。

閉じたときは、外面のフロントが自撮りやビデオ通話を受け持ち、背面にはメインの広角と、もう一方に望遠(または超広角)を載せる。

開いたときは、内側のフロントがビデオ会議やコンテンツ制作で活きる。つまり、閉じて片手で撮っても、開いて大画面で確認しながら撮っても、十分な画質と視野を確保できる。

MacRumorsは「4基(外2+外フロント1+内フロント1)」と整理しており、9to5Mac記事でも同趣旨が説明されています(同記事内には“5基”という表現も残っており、執筆・修正過程の整合ズレが見て取れます)。

自社モデム「C2」の意味:電力・熱・筐体レイアウトの“主権回復”

AppleはiPhone 16eや17 Airで第1世代「C1」モデムを展開し、次段の「C2」で性能・電力・mmWave対応を引き上げる見立てが語られています。折りたたみはヒンジと表示パネル周辺に熱と手狭さの課題が集中します。

外販モデムに合わせて内部構造を“逆算”するより、自社モデムで消費電力ピークや実装面積を最適化できるメリットは大きい。eSIM専用化の拡大(物理SIM排除)も、筐体の空間効率と防塵防水設計を助けます。

スケジュール感:2026年発売予測と量産前倒しの含意

Gurman氏は「2026年の投入」を示唆しつつ、サプライヤーの量産準備が早期に走る可能性にも触れます。量産の前倒しは“歩留まり改善の猶予確保”と“価格感の見極め”の両輪です。折りたたみはパネル・ヒンジ・筐体接着・防塵防水など複合領域で歩留まりが効く製品。Apple規模の出荷を成立させるには、2025年内〜2026年初頭のテスト量産で実績を積むのが定石です。

価格とポジショニング:上澄み市場の“受け皿”として

9to5Macは、価格が1,800ドル超級のアンドロイド勢に並ぶ(あるいは上回る)可能性を示唆します。Appleは薄さ・仕上げ・アプリ適合性・下取り循環までを束ねて“総所有コストと体験”で説得するはず。初代はカラーも黒/白に絞る可能性が述べられており、ラインアップの中でも実験的な完成度の高さを優先した構成になると読むのが自然です。

iPhone 17 Airとの関係:薄型路線と“分業体制”の始まり

2025年のiPhone 17世代では、極薄筐体の「Air(またはSlim)」が新設されるという見立てが強まっています。ここにC1系モデム(世代違い)を組み合わせ、翌年の折りたたみへC2でジャンプする配列だとすれば、薄型直系と折りたたみ系の二正面展開になります。Airはポータビリティ、Foldは可変画面の生産性でユーザー価値の分離が進む構図です。

既存フォルダブルとの比較:Appleは“薄さ×一貫体験”で勝負?

Android陣営は内外でサイズの異なるパネル、縦横比の違い、アプリ最適化の度合いなどで個性が濃い一方、折りたたみ共通の厚み・重さという本質課題からは逃れにくい。Appleが薄さ(閉9〜9.5mm)とUI一貫性、サードパーティのレイアウト最適化(Auto Layout/Size Class思想の徹底)を武器に“違和感の少なさ”を前面に出せれば、初号機でも“重さの言い訳をしない”ポジションが築けます。

情報の揺れをどう読むか:4カメラか、5カメラか

同一ソースを二次引用する記事の中には、見出しやSNS投稿で“5カメラ”とするものもありました。一方で本文は「4カメラ」と整合しているケースが多く、現状は編集途上の表記ゆれと見るのが妥当です。

量産前の設計では「内側カメラの位置/形態(パンチホール/ベゼル/UDC)」などで部品点数の数え方が揺れやすい。最終仕様は量産直前まで最適化されるため、現段階では4基想定、ただし内側構成の最終決定次第で微修正余地ありと捉えるのが現実的でしょう。

eSIM専用化の広がり:物理スロット撤去の副次効果

米国向けに先行したeSIM専用化は、折りたたみでも他地域へ拡大する見込みが語られています。スロット撤去は実装スペース確保だけでなく、耐水・耐塵・異物侵入対策でも効果的。ヒンジ周辺の防護設計にリソースを割く折りたたみでは、外装の開口部を少しでも減らしたいという設計者の本音がにじみます。

まとめ

  • 仕様の核:ブック型、4カメラ、Touch ID、C2モデム、eSIM専用化の拡大。
  • 技術の必然:極薄筐体ゆえFace ID二重実装は非現実的、Touch IDで一貫体験。
  • 事業の狙い:自社モデムで電力・熱・実装最適化、上澄み価格帯で体験価値を訴求。
  • 不確実性:カメラ数の表記ゆれなど最終仕様は変動余地あり。


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