カナダ、ハイテク大手を標的にした新デジタルサービス税で世界の潮流に参加

カナダ、ハイテク大手を標的にした新デジタルサービス税で世界の潮流に参加

はじめに

カナダは、フランス、イタリア、イギリスなどのヨーロッパ諸国に続き、今年から新たなデジタルサービス税(DST)を導入します。この税金は、AppleやGoogleなどの外国のテック大手を対象とし、カナダで得た収入に対して、現在はカナダで課税されていない分の税金を請求することになります。

この動きは、税回避に対処し、これらの企業が事業を行っている国で公平な税金を払うことを目的としています。

物理的・デジタル製品に対する租税回避

過去、Appleは、事業を展開している多くの国でハードウェア販売にほとんど税金を払わないような企業構造を持っていました。

例えば、ヨーロッパでは、米国のApple Inc.がアイルランドのAppleにiPhoneを製造・販売するライセンスを販売し、アイルランドのAppleがフランス、イタリアなどのヨーロッパ各国のAppleにほぼ小売価格でiPhoneを販売していました。

その結果、ヨーロッパのApple Storeは利益を上げず、法人税を払わない一方で、すべての利益はアイルランドで計上され、そこでの特別な取り決めによりAppleはほとんど税金を払っていませんでした。

Appleはこの仕組みが公になり、広範な怒りを招いた後、ヨーロッパでの使用を中止しましたが、デジタル収入の会計処理と課税方法に関する懸念は残っています。

デジタルサービス税の台頭

こうした懸念に対処するため、フランスは2020年に「デジタルサービス税」(DST)を導入し、Google、Apple、Facebook、Amazonの「GAFA」企業に対して一律3%の税金を課しました。

この税金は、アプリやiCloud、Apple Music、Apple TV+などのサブスクリプションサービスを含むデジタル製品の販売に関する租税回避スキームによって失われた税収の一部を取り戻すことを目的としています。

イタリアやイギリスなど、他のヨーロッパ諸国もフランスの例に倣い、独自のDSTを導入しました。

カナダのDST導入

Reutersによると、カナダは2024/2025年度から独自のDSTを導入します。この税金は、2024/2025年度から5年間で59億カナダドル(43億米ドル)の税収を見込んでいます。Appleは報告書で具体的に言及されていませんが、DSTが課税されている他の国と同様に、対象に含まれる可能性が高いです。

グローバルな取り決めの必要性

DSTは正しい方向への一歩ですが、長期的な解決策は、大企業が事業を展開している各国で税金を納めるためのグローバルな取り決めであると考えられています。AppleのCEOであるTim Cook氏は、このアプローチを支持していると表明しています。

137のOECD加盟国からは原則的な合意が得られていますが、支払うべき最低税率をめぐって意見の相違があるため、交渉はほとんど進んでいません。米国は、他の国よりも低い税率を支持していますが、これは米国企業が最も影響を受けるためだと考えられます。

まとめ

カナダのデジタルサービス税の導入は、大手テクノロジー企業が事業を展開している国で公平な税金を払うことを確実にするための継続的な取り組みにおいて、重要な進展と言えます。
DSTは正しい方向への一歩ですが、最終的な目標はグローバルな取り決めです。
交渉が続く中、各国が共通の基盤を見出し、すべての当事者にとって公平で公正な最低税率に合意することが重要になるでしょう。

(Via 9to5Mac.)


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