いつも使っているiPhoneやMac、その裏側で何が起きているか気になりませんか？

Appleが、今年4月から6月までの業績を7月31日に発表します。この記事を読めば、Appleの最新の状況や、私たちの生活にも関わるかもしれない「関税問題」のリアルな影響が、誰にでもわかるように理解できます。

ただの数字の発表と侮ってはいけません。そこからは、巨大企業の戦略や世界経済の動きまで見えてくるのです。

Appleが直面する900億円の重荷

Appleは今年3月、トランプ政権の関税政策により約 9億ドルの損失を予想すると発表しました。これは同社にとって決して小さな金額ではありません。

しかし、4月から6月にかけて状況は変化しました。トランプ政権は90日間の関税一時停止を発表し、Appleを含む多くの企業に一時的な猶予を与えたのです。

「関税の影響は予想より軽微になる可能性がある」

これが多くの投資家が期待していることです。しかし実際はどうなのでしょうか。

前年同期比で見る成長の兆し

2024年の同時期、Appleは記録的な857億7,700万ドルの売上を達成しました。前年比4.8%の成長は、技術業界全体が停滞する中で印象的な数字でした。

特に注目すべきは各部門の成績です：

• iPhone：392億9,600万ドル（前年同期比0.94%減）
• Mac：70億900万ドル（前年同期比2.46%増）
• iPad：71億6,200万ドル（前年同期比23.63%増）
• ウェアラブル、ホーム、アクセサリー：80億9,700万ドル（前年同期比2.26%減）
• サービス：242億1,300万ドル（前年同期比14.14%増）

iPadは新しいM4 iPad ProとM2 iPad Airの発売により23.63%の大幅成長を記録。一方でiPhoneは0.94%の微減、Mac部門は2.46%の成長となりました。

Servicesの安定した14.14%成長は、Appleの収益構造の変化を物語っています。つまり、ハードウェア販売だけでなく、アプリやサブスクリプションからの継続的な収入が会社の安定性を支えているのです。

中国市場での巻き返しが始まった

今回の決算で特に注目したいのが中国市場での動向です。

Appleは過去2年間、中国市場で苦戦を強いられてきました。しかし、2025年第3四半期では中国でのiPhone販売が回復基調にあると報告されています。

これは単なる偶然ではありません。Appleはトランプ政権の関税政策に対抗するため、製造拠点の多角化を進めています。具体的には、インドでの製造を拡大し、アメリカ向けの製品をインドから輸出する戦略を取っています。

この戦略により、中国での販売に集中できる環境が整いつつあるのです。

新製品ラッシュが売上を押し上げる

第3四半期は通常、Appleにとって比較的静かな時期です。しかし今年は違いました。

4月から6月の間、以下の新製品が市場に投入されました：

• iPhone 16e
• M3チップ搭載iPad Air
• M3 Ultra Mac Studio
• M4 MacBook Air

これらの製品が3ヶ月間フルに販売されたことで、各カテゴリーで売上増加が期待されています。特にM3とM4チップの性能向上は、プロフェッショナルユーザーから高い評価を受けており、Mac部門の成長を後押ししそうです。

関税ゲームの真の勝者は誰か

トランプ政権の関税政策は、表面的には「アメリカファースト」を掲げています。しかし、Appleの事例を見ると、実際の効果は複雑です。

90日間の関税一時停止期間中、ほとんど新たな貿易協定は締結されませんでした。7月8日にはより厳しい関税が再開される予定で、Appleを含む多くの企業が不確実性の中で事業を行うことになります。

この状況で最も興味深いのは、Appleがとった対応策です。同社は単純に関税を製品価格に転嫁するのではなく、製造拠点の分散化とサプライチェーンの最適化に投資しています。

長期的に見れば、この投資はAppleの競争力をさらに強化する可能性があります。

投資家が注目する3つのポイント

7月31日の決算発表で、投資家が特に注目するポイントは以下の3点です：

1. 実際の関税影響額


　予想された9億ドルの損失が実際にはどの程度だったのか。


2. 中国市場での回復度合い


　2年間の停滞からどの程度回復できたのか。


3. 第4四半期の見通し


　関税再開後の業績予想がどうなるのか。

これらの数字は、Apple株主だけでなく、技術業界全体の方向性を示す重要な指標となります。

消費者にとっての本当の意味

ここまでの分析で見えてくるのは、関税政策の影響は一時的なものに留まらないということです。

Appleのような大企業は製造拠点の分散化や効率化によって関税の影響を軽減できます。しかし、その過程で発生するコストは最終的に製品価格に反映される可能性があります。

つまり、私たち消費者にとって重要なのは、短期的な価格変動よりも、長期的な技術革新のペースがどう変わるかということです。

Appleが関税対策に投資するリソースを、本来なら新しい技術開発に使えたはずです。この機会コストが、将来の製品開発にどう影響するかが真の問題と言えるでしょう。

(Via Apple.)