Googleが規制当局に働きかけ、AppleにRCS採用を迫る算段
Googleは昨年から、AppleにRCS(Rich Communication Services)の採用を求めるキャンペーンを強力に展開しています。RCSは、Androidのメッセージングプラットフォームで、iMessageのように長文メッセージ、高画質の写真や動画、読了確認、タイピング表示、エンドツーエンド暗号化などの機能を搭載します。
RCS非対応ユーザーがグループチャットに参加すると、これらの機能は利用できなくなるのもiMessageと同様です。
Googleは、iPhone利用者がAndroidユーザーから送られてくる低画質コンテンツに困っていると指摘。AppleがRCSに対応すれば、直ちにこの状況は改善すると訴えています。
もしAppleがRCSを採用した場合、RCSユーザーからiPhoneのiMessageに送信されたメッセージでも、先進の機能は使えるようになります。
一方、AppleはiMessageがiPhone購入の大きな決め手になっていると考えています。RCS対応によりiMessageの魅力が薄れ、iPhoneの販売に悪影響するのではないかと警戒しています。
したがって、Appleが自発的にRCSを採用する可能性は低く、規制当局からの強制がなければ実現しないでしょう。
実際、EUのデジタル市場法(DMA)が、AppleにRCS対応を強制する可能性があありました。iMessageを「ゲートキーパー」に指定すれば、EU加盟27カ国でのRCS対応を義務化できます。
月間ユーザーが4,500万人以上という基準を満たせば「ゲートキーパー」となりますが、iMessageはこの水準に達していいませんでした。結果、Appleは当面、EUでRCS対応の必要がなくなりました。
そこでGoogleが再び動き出し、EUにiMessageをDMAの「コアプラットフォームサービス」に指定するよう求めています。
Google幹部と通信各社トップがEU委員宛てに送った書簡では、ビジネスユーザーがRCS非対応の影響を受けている点を訴えています。iMessageが企業と消費者をつなぐゲートウェイである以上、「ゲートキーパー」指定が正当と主張しています。
EU基準である売上高75億ユーロ以上、月間EUアクティブユーザー10万人以上をiMessageは満たしているため、DMAに基づきRCS対応を強制できます。Appleは個人向けコミュニケーションアプリを強調し反論する構えですが、EUの判断次第で対応を迫られる可能性があります。
Googleの思惑が実現すれば、Appleもこれを拒めなくなります、しかしAppleもEU加盟国に対応を限定することで影響を抑えられるだでしょう
メッセージング市場の行方にも波紋が広がりそうな両社とEUの攻防の行方が注目されます。
(Via Financial Times.)
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