Appleが長年の開発期間をかけて生み出した新しいC1モデム技術。iPhone 16eの発売前は、この初代バージョンがQualcommの5Gモデムに性能面で劣るだろうという予測が大半でした。しかし、最近発表された実環境での調査結果は、私たちの予想を覆すものでした。

AppleのC1モデムとQualcommモデムの性能比較について詳しく見ていきます。

実環境データが示すC1モデムの優位性

Ooklaが本日発表した調査は、C1モデムを搭載したiPhone 16eと、Qualcommモデムを搭載した標準iPhone 16の実環境でのパフォーマンスを比較したものです。その結果は多くの専門家を驚かせました。


この調査ではアメリカの三大キャリア(AT&T、T-Mobile、Verizon)におけるデバイスのパフォーマンスを、以下の3つの異なるレベルで追跡しています:

  • – 10パーセンタイル(最低パフォーマンス体験)
  •  通信環境が悪く、ダウンロード速度が低下する状況

  • – 中央値パフォーマンス
  •  平均的な通信状況

  • – 90パーセンタイル(最高パフォーマンス体験)
  •  通信環境が非常に良く、最高のダウンロード速度が出る状況

C1 benchmark_01.
全体的なデータはそれぞれのデバイスがどのように性能を発揮するかについて細かな側面を見せていますが、いくつか重要なポイントが明らかになりました。

弱い接続環境でC1が示した優位性

まず特筆すべきは、10パーセンタイルにおいてC1搭載のiPhone 16eが明確な勝者となったことです。これは接続が困難な状況下でのパフォーマンスを意味します。ダウンロード速度が低下するような状況において、C1モデムはQualcommモデムよりも優れた体験を提供したのです。

このことは実用面で非常に重要な意味を持ちます。私たちが日常的に最も不満を感じるのは、電波が弱くて通信速度が遅い状況だからです。そのような状況で信頼性の高い接続を維持できることは、ユーザー体験を大きく向上させる要素といえるでしょう。

最高速度ではQualcommが優勢だが実用性は?

興味深いことに、90パーセンタイル(最高パフォーマンス)ではこれと逆の結果が示されました。Qualcommモデム搭載のiPhone 16は、AT&T、T-Mobile、Verizonの全てにおいて、より高いダウンロード速度を記録しました。

しかしOoklaによれば、この点はユーザーにとってそれほど重要ではないと指摘しています:

「最低の10パーセンタイルでのパフォーマンスは、最速の90パーセンタイルよりも、全体的な体験品質(QoE)をより正確に反映することが多いです。最速値はmmWave対応エリアでの展開によって歪められることがあり、限界収益逓減の法則の影響を受けます。」

つまり、理論上の最高速度よりも、弱い接続状況でどれだけ安定した通信が可能かという点の方が、実際のユーザー体験に大きな影響を与えるということです。

中央値パフォーマンスの比較

日常的な使用において最も重要な指標である中央値パフォーマンスについては、僅差ながらiPhone 16eが総合的に優位に立ちました。iPhone 16eはAT&TとVerizonの両方で、より高い中央値速度を示したのです。

ただし、T-Mobileユーザーに関しては、QualcommモデムがAppleのC1よりも高い中央値速度を記録しました。このキャリア特有の結果は、各キャリアのネットワーク構成や最適化が異なることを示唆しています。

アップロード速度ではC1が圧倒的優位

最後に特筆すべきは、アップロード速度においてiPhone 16eが全ての主要キャリアで一貫して高速だったことです。AT&TとVerizonでは、C1モデムはQualcommと比較して約2倍のアップロード速度を提供しました。T-Mobileでも僅かながらC1が優位でした。

アップロード速度は、写真や動画の共有、オンラインミーティング、クラウドへのバックアップなど、現代のスマートフォン利用において非常に重要な要素です。この点でC1が圧倒的な優位性を示したことは、Appleの技術開発の成果として評価できるでしょう。
C1 benchmark_03.

結論:Appleの初代モデムが示した可能性

Appleの初めての自社開発モデムであるC1が、業界で長い実績を持つQualcommのモデムと比較して、多くの面で優れたパフォーマンスを示したことは注目に値します。特に接続が困難な状況での安定性と、アップロード速度における優位性は、実際のユーザー体験を向上させる重要な要素です。

この結果は、Appleが自社開発のモデム技術に投資してきた長年の努力が実を結びつつあることを示しています。今後のモデル改良と最適化によって、さらなるパフォーマンス向上が期待できるでしょう。

iPhone 16eを検討している方々にとって、この調査結果は購入決定の重要な判断材料になるかもしれません。特に安定した通信環境やアップロード速度を重視するユーザーにとって、C1モデム搭載のiPhone 16eは魅力的な選択肢と言えるでしょう。

(Via 9to5Mac.)


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