Ming-Chi Kuo氏 : Apple の WWDC 2024 に向けた AI 戦略が明らかに!
Apple のワールドワイドデベロッパカンファレンス(WWDC)2024の開催が近づくなか、投資家は同社の人工知能(AI)サービスや機能に関する発表を心待ちにしています。
Ming-Chi Kuo氏は Medium のオンラインで、過去数ヶ月間に投資家から頻繁に寄せられた質問とその回答を紹介しています。
1. 市場心理とハードウェア出荷台数
ポジティブな市場心理
市場は、Appleがデバイス上のAIでユーザー行動を再定義し、ハードウェアの買い替え需要を喚起すると期待しています。ここ数週間のAppleの株価上昇は、WWDC 2024に対する市場のポジティブな期待を示しています。
ハードウェア出荷台数の成長
AppleのAIサービスがハードウェア出荷台数の増加に貢献するためには、「ユニークで持続可能な競争優位性」が必要です。OpenAIが発表したmacOSデスクトップ版ChatGPTがその一例です。
Windows版よりも先にリリースされたものの、ユニークさや持続可能な優位性に欠け、Appleのハードウェア出荷台数への影響は限定的でした。
2. iOS 18とiPhoneの買い替え需要
サプライチェーン調査によると、2024年下半期のiPhone 16の出荷台数は、2023年下半期のiPhone 15の出荷台数と比較して、前年比で約5%減少する可能性があります。
これは、Appleが現在、iOS 18が買い替え需要を牽引する影響は限定的であるとみていることを示唆しています。しかし、WWDC後にAppleが市場のフィードバックに基づいて出荷台数の予測を調整するかどうかは、まだわかりません。
3. AIサービスとAppleのエコシステム
AIサービスの収益化
デバイス上のAIは収益化するのが難しいですが、クラウドベースまたはクラウドとデバイス上のAIを統合したものは収益化のチャンスがあります。
Appleは、AIがハードウェアの買い替えを促すことを期待するよりも、自社のエコシステム内の既存ユーザーに高品質なAIサービスへの支払いを納得させる方が簡単だと考えるかもしれません。
潜在的なAIサービス
Appleは、以下のようなさまざまなAIサービスをリリースする可能性があります。
- Siriのユーザー体験の大幅な改善。
- AI 強化アプリケーション(翻訳、検索、写真編集、ワープロなど)。
- ChatGPTのようなチャットボットの統合によるインターネット検索サービスの強化。
- アプリ内チャットボット/AI(ブラウザに切り替えることなく、アプリ内でAIを使用可能。)
4. 提携と競争優位性
OpenAIのような企業との提携は、Appleの競争優位性を大幅に強化する可能性がありますが、それは協力モデルと成果次第です。
重要なのは、提携を通じて開発されたAIサービス/機能が「ユニークで持続可能な競争優位性」を持っているかどうかです。
OpenAIのような大手企業にとって、独占的な提携条件を受け入れ、AppleがLLM(Large Language Model)の開発進捗を管理することを認めることは難しいかもしれません。
さらに、Appleは、OpenAIのような企業と緊密に協力することで、開発されたAIサービス/機能が中国などの特定の市場で利用できなくなるリスクを考慮する必要があります。
5. AppleのLLM開発
Appleはクラウドベースとデバイス上の両方でLLMを開発しています。しかし、WWDC 2024で市場予想を大幅に上回る開発進捗を発表することは考えにくいでしょう。
クラウドベースのLLMはトレーニングに時間がかかり、デバイス上のLLMの開発は現在、iPhone 16の8GB DRAMによって制限されています。
結論
まとめると、WWDC 2024におけるAppleのAI戦略には、以下の内容が含まれると予想されます。
- WWDC後、AppleはAI業界の後れを取っているとは見なされなくなる。
- Apple の主要アプリケーションに AI が広く採用され、ユーザーインターフェース設計における優位性が示される
- OpenAI などの企業との提携により、主に AI ラッパーモデルに焦点を当てる可能性があります。
- ハードウェアの制限により、オンデバイス LLM は市場の期待を上回る可能性は低いと考えられます
- iPhone 16の出荷台数はiPhone 15の出荷台数を下回るという予測があります
- ハードウェアの買い替え需要とサービス事業に長期的にはプラスの影響をもたらしますが、短期的にAIが大きな収益や利益の成長をもたらすには更なる取り組みが必要と思われる。
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