Apple Watchの新機能として期待されている血圧測定機能の最新動向についてお伝えします。残念ながら、この革新的な機能の実装にはさらなる遅れが生じているようです。

Appleが直面する開発の壁

Bloombergの著名テックジャーナリスト、Mark Gurman氏によると、Appleは依然としてApple Watchへの血圧測定機能の実装に苦戦しているとのことです。

Gurman氏が最新のPower On newsletterで報告したところによれば、同社は「テスト中に問題に直面し続けている」状況にあるようです。具体的にどのような問題が発生しているかについては明らかにされていませんが、技術的な課題が予想以上に複雑である可能性が高いでしょう。

医療機器開発から言えば、血圧測定は一見単純に思えて実は非常に繊細な技術です。通常の血圧計は圧力センサーによる直接的な測定を行いますが、腕時計型デバイスでこれを実現するには、まったく異なるアプローチが必要になります。おそらくAppleは光学センサーなどを使った間接的な測定方法を模索しているのでしょうが、精度と信頼性の確保に苦労していると考えられます。

期待された機能の進化

Gurman氏はすでに2022年1月からAppleの血圧モニタリング計画について報道を続けています。彼の2023年11月のレポートによれば、初期バージョンでは収縮期と拡張期の正確な数値(いわゆる上の血圧と下の血圧)を表示する機能はないものの、その後のバージョンではこれを実現する予定だったとのこと。

当初、この機能はApple Watch Series 10に搭載される予定でしたが、残念ながらそれは実現しませんでした。皆さんもご存知の通り、今年発売されたSeries 10にはこの機能は含まれていませんでした。

最近のGurman氏の報告によれば、開発中の機能はユーザーの血圧が上昇傾向にあるかどうかを追跡し、高血圧が検出された場合にアラートを送信するというものです。アラートを受け取ったApple Watchユーザーは、その情報を医療専門家に提供して追加検査を受けることができるという仕組みのようです。

健康維持における血圧測定の重要性

高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」として知られています。なぜなら、検出されず診断されないまま進行し、心臓の損傷や死亡につながる可能性があるからです。高血圧はかなり進行するまでほとんど症状がないことが多く、Apple Watchによる早期発見は文字通り命を救う可能性を秘めています。

日頃から強調されているのは、血圧の定期的なモニタリングの重要性です。特に40代以降の方や、家族に高血圧の方がいる場合は注意が必要です。日本人は塩分摂取量が多い傾向があり、世界的に見ても高血圧発症率が高いと言われています。

もしApple Watchが日常的な血圧モニタリングを可能にすれば、多くの日本人ユーザーにとって大きなメリットとなるでしょう。

実現時期はさらに遅れる見込み

昨年12月の時点では、Gurman氏はAppleが血圧追跡機能の開発を「加速している」と報告し、この機能が早ければ2025年に登場する可能性があるとしていました。しかし、彼の最新のコメントによれば、それさえも現実的ではなくなってきたようです。

Appleが直面している課題は主に二つあると思われます。

  • 技術的な精度の問題
  • 各国の医療機器認証の問題

腕時計型デバイスで医療グレードの血圧測定を実現するのは極めて難しいことです。もう一つは各国の医療機器認証の問題です。血圧測定は単なる健康管理機能ではなく、医療的な判断に影響を与える機能となるため、FDA(アメリカ食品医薬品局)や日本の厚生労働省などの認可が必要になると考えられます。

競合他社の動向とAppleの慎重な姿勢

SamsungやFitbitなど他の大手ウェアラブルデバイスメーカーも似たような健康機能の開発に取り組んでいますが、いずれも完璧な解決策を提供できていません。

Appleは常に「出せるまで出さない」という慎重な姿勢を取ることで知られています。特に健康関連機能については、不正確な情報が命に関わる可能性もあるため、さらに慎重になっているのでしょう。

Appleのこの慎重さは賞賛に値します。多少時間がかかっても、確実に機能する製品を提供する姿勢は、ユーザーの信頼を勝ち取る重要な要素です。

まとめ

Apple Watchの血圧測定機能は、多くのユーザーが心待ちにしている革新的な機能ですが、その実現にはまだ時間がかかりそうです。
技術的な課題と医療機器としての信頼性確保のハードルは思いのほか高いようです。

とはいえ、Appleが諦めたわけではないことは明らかです。
同社の研究開発チームは引き続きこの難題に取り組んでおり、いずれはより包括的な健康モニタリング機能を備えたApple Watchが登場することでしょう。

私たちユーザーとしては、もう少し待つ必要がありそうですが、健康管理という重要な分野だけに、完成度の高い機能の登場を気長に待ちたいところです。

(Via MacRumors.)


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