AppleのAI戦略を巡る社内議論 – PerplexityとMistral AI買収の行方

AppleのAI戦略を巡る社内議論 – PerplexityとMistral AI買収の行方

2025年8月、AppleのAI分野における戦略について興味深い内部情報が明らかになりました。同社が人工知能技術の強化を図る中で、買収による外部技術の取り込みと自社開発のどちらを重視すべきかという議論が続いているようです。

買収候補として浮上する2つの企業

Modern AI technology companies and startup office environment

現在、Apple内部で買収の可能性が議論されている企業は主に2社です。

Perplexity は、AI検索分野で注目を集めるスタートアップです。同社はOpenAIをはじめとする他社のAIモデルを活用して、従来の検索エンジンとは一線を画すAI検索サービスを提供しています。特に、ユーザーの質問に対して文脈を理解した回答を生成する技術に長けており、Appleが目指すSiriの進化にとって価値ある技術を持っています。

一方、Mistral AI はフランス発のAI企業で、独自のAIモデルの開発と新しいシステム構築の専門知識を有しています。規模こそ大手に劣るものの、技術力の高さで業界内での評価を高めている企業です。

Apple内部の意見対立

Apple M&A_02.

興味深いのは、これらの買収に対するApple幹部間での意見の相違です。

Eddy Cue(サービス担当上級副社長)は、大規模AI買収の最も強力な支持者として知られています。過去にはNetflixやTeslaの買収も提案した実績があり、外部技術の積極的な取り込みによってAppleの競争力強化を図ろうとしています。しかし、これらの提案はいずれもTim CEOによって却下されています。

対照的に、Craig Federighi(ソフトウェア担当上級副社長)は慎重な姿勢を示しています。彼は自社のエンジニアリングチームの能力に自信を持っており、外部買収に頼らずとも自社開発でAI分野での遅れを取り戻せると考えているとされています。

Google検索契約の影響

この買収議論の背景には、AppleとGoogleの検索契約を巡る不透明な状況があります。現在進行中の法廷での判決次第では、この巨額の契約関係が大きく変わる可能性があり、Appleは代替手段の確保が急務となっています。

Tim Cook CEOは最近、「ロードマップを加速するM&Aには非常にオープン」と発言していますが、実際には銀行家に対して「AI分野での小規模な取引に集中する戦略を継続する」と伝えているという矛盾した状況も報告されています。

Siriの未来を巡る競争

Voice assistant AI technology and smart device interaction

現在Appleでは、次世代Siriの開発において社内AIチームと外部プロバイダーの間で競争が行われています。Anthropic、OpenAI、Googleといった主要なAI企業が参加しており、最終的にどの技術が採用されるかが注目されています。

この競争の結果は、AppleのAI戦略全体に大きな影響を与える可能性があります。社内チームが優秀な成果を示せば、Federighiの「自社開発優先」論が強化される一方で、外部技術が圧倒的に優れていれば、買収を含む外部連携の必要性が高まるでしょう。

今後の展望

Appleは伝統的に、企業や技術に対する過払いを避ける慎重な買収姿勢を取ってきました。しかし、AI分野での競争が激化する中で、この方針を維持できるかが問われています。

PerplexityやMistral AIの買収が実現するかどうかは、社内での議論の行方次第です。しかし、いずれにせよAppleがAI分野での立ち位置を強化するため、何らかの大胆な行動を起こす必要性は高まっていると言えるでしょう。

2025年後半から2026年にかけて、AppleのAI戦略がどのような方向性を取るのか、業界関係者の注目が集まっています。

(Via 9to5Mac.)


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