Siriが“本当にやってくれる”のは来春?—App Intentsの現状

最初にざっくり言うと—Appleが約束していた「Siriがアプリをまたいで実際に操作してくれる」新機能(App Intents連携+Siri刷新)は、来春のポイントリリース(いわゆる“.4”)で出す方向だそうです。
最初はiOS 18の期間中に出す予定でしたが、開発が難航。まずは対象アプリを絞り、健康や銀行など精度が命の分野は制限する可能性もあるとのことですね。これはBloombergのMark Gurman氏のレポートと、それをまとめた9to5Macなどの報道によります。
正直なところ、最初このニュースを聞いた時は「また伸びたか…」と思いました。ただ、やみくもに出して事故るより、段階的に出す判断は現実的なんですよね。Appleの公式ページでも“将来のソフトウェア・アップデートで提供”とずっと明言していましたし、腰が重いのではなく慎重なだけ、という読みもできます。
そもそもApp Intentsって何?—Siriに“やり方”を伝える共通言語
App Intentsは、かんたんに言うと「アプリが“自分は何ができるか”をOSに宣言する仕組み」です。SiriやSpotlight、Shortcuts、ウィジェットなどOS側の体験がこの“宣言”を読んで賢く動くというわけですね。
たとえば「この写真をもう少し鮮やかにして、メモの○○に貼って」と話すと、Siriが写真アプリで編集し、メモに置く…という動線を言葉だけで作れる設計です。Apple自身も“将来のアップデートで提供”と書いていました。
意外と知られていませんが、App IntentsはSiriだけのものではないんですよね。Spotlightやコントロール、Apple Pencil、Action buttonとも連携が進み、“触る場所”が増えるほど同じIntentsが横に広がるのがミソ。さらにWWDC25ではVisual Intelligenceや新しいクライアント側の進化も紹介され、土台は確実に厚くなっています。
どうして遅れているの?—「精度」と「対応アプリ数」の壁
社内では「十分な数のアプリで動かせるのか」「高リスク領域で事故らない精度が出るのか」に不安が残っているようです。特に健康(Health)や銀行(Banking)は、1回の取り違えが命取り。そこで“その領域を最初は制限、または除外する”という選択肢まで検討されているとの話。出してから炎上より、狭く正しくの判断でしょう。
「これ、実は予兆があったんです」—WWDC24の言い回しと“将来提供”の注釈

WWDC24でもApple Intelligenceの説明に“将来のアップデート”という文言が散りばめられていて、「今年中に全部は無理だな」という空気は正直にありました。メディアも“段階的な導入”として伝えていました。なので今回の「来春に大きめの一弾」というのは、むしろ読み筋通りです。
どのアプリから動くの?—身近な名前が並ぶ“事前連携”
報道ベースでは、Uber、AllTrails、Threads、Temu、Amazon、YouTube、Facebook、WhatsAppなど身近なアプリがテスト相手に挙がっています。ここが滑らかに動くと、「とりあえず毎日使うアプリで効果を実感」という立ち上がり方ができますよね。ただし“一部対応からの展開”なので、すべてのアプリで同じ体験…とは最初はならないでしょう。
周りの声:便利派と慎重派で、きれいに半々
周りのiPhone仲間に聞いてみると、「配車や買い物が一声で完了するなら超歓迎」という効率派と、「お金系や健康系は怖いから最初はオフにする」という慎重派で真っ二つ。私も“送金/決済系は最初は手動確認”が現実的だと思っています。Bloombergのリスク分野を絞るという話は、まさにユーザー心理に合っていますよね。
でも、ちょっと待って:本当に“魔法”になるのは、ミドル級アプリが追随してから
大手は早く追随するでしょう。でも、地域密着の交通・病院予約・学習塾アプリなど、“あなたの毎日に深く刺さるミドル級アプリ”がApp Intentsに乗るまでは、体感が部分的になりがちです。土台(App Intents)は素晴らしい。ただ、“広がり”はサードパーティ次第という現実があります。Developer向けの資料やセッションを見ると、導入の設計指針はかなり整ってきたので、ここからの普及速度がカギですね。
私たちの生活への影響:音声で“画面操作”を消していく

Siriの強化は「アプリを開く→探す→タップする」を声だけで置き換える流れを加速させます。写真の加工→メモに貼る→誰かに共有といった“小さな複合動作”ほど効き目が大きいんですよね。Apple自身も“アプリ横断でのアクション”を前面に出しています。手が離せない時、移動中、家事の合間でこそ真価が出るでしょう。
デメリットも率直に:期待の裏で気をつけたいこと
デメリットは最初は“できるアプリ”が限られる、誤認識がゼロではない、日本語の細かなニュアンスで戸惑う場面が残ることですね。
高リスク領域は意図的に狭めて出す可能性があるので、“万能の執事”像は少し後になりそう。ここは過度な期待を置かないほうが健全です。
私の予想:来春は“狭く深く”。WWDC25〜26で“広く強く”
個人的には、来春(“iOS 26.4”)でApple純正+主要サードの“狭く深い”体験をまず固めると見ています。
夏以降のSDK更新やWWDCの波で、対応アプリが一気に増えるフェーズに入り、“広く強い”日常化が進むでしょう。App Intentsのドキュメントやセッションの更新頻度を見ると、プラットフォーム側の準備は着実。地味な基盤整備が勝負を分けるというわけですね。
(Via 9to5Mac.)


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