2023年にM2 Ultraチップを搭載したMac Proが登場してから、次世代モデルへの期待が高まっています。しかし、最近のMac Studioのアップデートに関する動きは、次期Mac Proの方向性に興味深い疑問を投げかけています。

2025年に登場する可能性のある次期Mac Proについて、現時点で判明している情報と業界の見方。

次期Mac Proのチップ:M4 Ultraは登場するのか?

現行のMac Proは、2023年6月に発表されたM2 Ultraチップを搭載しています。通常の製品サイクルを考えると、次期モデルではM4 Ultraチップが搭載されると予想するのが自然でしょう。しかし、最近の動向を見ると、事態はそれほど単純ではないようです。


先日アップデートされたMac Studioには、M4 Maxチップを搭載したモデルとM3 Ultraチップを搭載したモデルが用意されました。しかし、M4 Ultraチップは発表されませんでした。

この点について、AppleはMac Studioのレビュアーたちに対し、「すべての世代のMシリーズチップに上位の”Ultra”ティアが含まれるわけではない」と説明しています。つまり、M4 Ultraチップそのものが存在しない可能性があるのです。

このことから、次期Mac Proにどのチップが搭載されるかについては、いくつかの可能性が考えられます。

  1. AppleがM4 Ultraチップを開発中で、まだ準備が整っていないというケースです。しかし、これまでのUltraチップは基本的に2つのMaxチップを「UltraFusion」コネクタで接続したものでした。今回のM4 Maxチップにはこのコネクタが搭載されていないため、この可能性は低いと見られています。
  2. 「M4 Extreme」といった別名称の高性能チップが開発されているというものです。これは単なる名称変更ではなく、アーキテクチャ自体が従来のUltraチップとは異なる可能性があります。
  3. Mac ProがM3 Ultraチップを搭載するというシナリオです。しかし、もしこれがAppleの計画なら、Mac Studioと同時に更新されていた可能性が高いでしょう。Mac Proの発表が遅れているのは、他の開発上の理由があるかもしれませんが、現時点では目立った新機能の噂はありません。
  4. Mac ProがM5 Ultraチップを搭載するというケースも考えられます。業界の一部では、2025年後半にM5チップを搭載した最初のMacが登場するという見方がありますが、一方で2026年初頭まで延期されるという見方もあります。さらに、仮に2025年後半にM5チップ搭載のMacが登場したとしても、そのUltraバージョンがすぐに準備できるという保証はありません。

現時点では、2025年に登場する次期Mac Proのチップについて、明確な情報はないというのが実情です。
New Mac Pro_02.

デザイン面での変更は期待できるか?

次期Mac Proのデザイン変更に関する噂はほとんど聞かれません。これは、Appleが現行モデルのデザインを維持する方針である可能性を示唆しています。

現行のMac Proは、Apple Siliconへの移行後に登場した最初のモデルですが、そのデザインは以前のIntel搭載モデルとほぼ同一です。アルミニウム製の洗練されたタワー型筐体は、プロフェッショナルユーザーからも高い評価を得ているため、大幅な変更を行う理由は少ないかもしれません。

ただし、内部レイアウトについては、新しいチップセットや冷却システムに対応するための変更があるかもしれません。特に、仮に従来とは異なるアーキテクチャのチップが採用される場合は、それに最適化した内部設計が必要になるでしょう。

接続ポートの進化:Thunderbolt 5の採用

ポート周りについては、より確実な予測が可能です。AppleはMac StudioとMacBook Proに最新のThunderbolt 5ポートを追加しました。次期Mac Proにも同様にThunderbolt 5ポートが搭載される可能性が高いでしょう。

Thunderbolt 5は、より高い転送速度を実現し、複数の高解像度ディスプレイの接続を可能にします。具体的には、最大120Gbpsの帯域幅(特定の状況下では最大240Gbps)を提供し、8K以上の複数のディスプレイを同時に接続できるようになります。これはビデオ編集や3DCG制作などのプロフェッショナルワークフローにとって大きなメリットとなるでしょう。
New Mac Pro_03.
また、Thunderbolt 5の採用により、外部GPUやハイエンドストレージアレイなど、より多くの周辺機器を同時に接続可能になります。これはMac Proのようなワークステーションクラスのマシンにとって、非常に重要な進化です。

メモリとストレージの大幅強化

次期Mac Proでは、メモリとストレージの最大容量が大幅に増加する可能性があります。現行モデルがM2 Ultraチップで最大192GBのRAMに制限されているのに対し、M3 Ultraチップは最大512GBのRAMをサポートしています。次期Mac ProがM3 Ultraまたは同等のチップを搭載する場合、メモリ容量は大幅に増加するでしょう。

同様に、ストレージの最大容量も倍増する見込みです。M3 Ultraは最大16TB SSDをサポートしていますが、現行のMac Proは8TBに制限されています。これは、4K/8K動画編集や大規模な3Dレンダリングなど、大容量のデータを扱うプロフェッショナルユーザーにとって朗報となるでしょう。

さらに、メモリ帯域幅の向上も期待できます。M3チップファミリーでは前世代と比較してメモリ帯域幅が向上しており、次期Mac Proでもこの傾向が続くと考えられます。高速なメモリアクセスは、大規模なデータセットを扱う科学計算やAI処理、複雑な3Dモデリングなどのタスクで大きな恩恵をもたらすでしょう。

発売時期:2025年末か2026年初頭か

次期Mac Proの発売時期については、BloombergのMark Gurman氏が昨年、2025年末に更新されるだろうと報じています。しかし、チップの不確実性を考えると、Appleは2026年まで発売を延期する可能性もあります。

Appleのハードウェア更新サイクルは通常2年程度ですが、Mac Proのような高性能マシンは例外的に長いサイクルで更新されることもあります。特に、Appleが全く新しいアーキテクチャのチップを開発している場合は、さらに時間がかかる可能性があります。

また、半導体業界全体の状況も発売時期に影響を与える可能性があります。チップの製造プロセスや供給チェーンの問題により、予定が変更されることも珍しくありません。

次期Mac Proへの期待と展望

次期Mac Proは、Appleのプロフェッショナル向けラインナップの頂点に位置する製品です。そのため、単に性能が向上するだけでなく、プロユーザーの多様なニーズに応える機能が求められます。

特に注目すべきは、拡張性です。現行のApple Siliconモデルは、Intelモデルと比較して内部拡張性が制限されています。次期モデルでは、この点が改善されるかどうかが注目されます。例えば、ユーザー自身によるRAMやストレージのアップグレード可能性や、追加のPCIeスロットなどが提供されれば、プロフェッショナルユーザーからの評価はさらに高まるでしょう。

また、グラフィックス性能も重要なポイントです。M3チップファミリーではグラフィックス性能が大幅に向上していますが、次期Mac Proではさらなる進化が期待されます。特に、レイトレーシングやAI支援のグラフィックス処理能力が強化されれば、クリエイティブプロフェッショナルにとって大きなメリットとなるでしょう。

まとめ

2025年に登場する次期Mac Proについては、まだ多くの不確定要素があります。
特にチップの種類については、M4 Ultra、M3 Ultra、または全く新しい名称のチップなど、複数の可能性が考えられます。

一方で、Thunderbolt 5の採用や、メモリ・ストレージ容量の大幅増加など、ある程度予測可能な進化もあります。
これらの改良は、プロフェッショナルユーザーのワークフローを大きく改善する可能性があります。

発売時期については2025年末が有力視されていますが、チップの開発状況によっては2026年初頭にずれ込む可能性もあります。

(Via MacRumors.)


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