EUデジタル税撤回へ:AppleやMetaに朗報?新たな課税案の行方と私たちへの影響

EUデジタル税撤回へ:AppleやMetaに朗報?新たな課税案の行方と私たちへの影響

「巨大IT企業へのデジタル税、結局どうなるの?」

こんな疑問を抱いたことはありませんか?私たちが日々利用するAppleMetaのような大手テクノロジー企業に、EU(欧州連合)がデジタル税を課すという話は、以前から注目されていました。しかし、この度、欧州委員会がその計画を撤回する方向で動いていることが明らかになりました。

この記事を読み終える頃には、なぜデジタル税がなくなったのか、そしてその代わりにどのような新しい課税案が検討されているのかが、きっと理解できるでしょう。

さらに、これらのEUの動きが、遠い話に聞こえても、最終的に私たちの生活や経済にどう影響する可能性があるのかについても、具体的な視点が得られるはずです。

「デジタル税」はなぜ消えたのか?

もともと、このデジタル税は、EUがパンデミック(世界的な感染症の流行)で生じた共同債務を返済する手助けとして、新たな財源を確保するために検討されていました。今年の5月には具体的な案が浮上し、今週水曜日(7月16日)に発表される予定のEUの次の7カ年予算の内部草案にも盛り込まれていたようです。

しかし、なぜこの計画は撤回されたのでしょうか。その大きな理由の一つは、EUとアメリカの交渉担当者が、より広範な貿易協定の最終段階に入っていることです。デジタル税は、AppleMetaといったアメリカの巨大テクノロジー企業に大きな影響を与えるため、この税の導入は貿易交渉に悪影響を及ぼす可能性がありました。

POLITICOというメディアが入手し、先週後半に回覧された文書によると、欧州委員会はデジタル税を提案された歳入源のリストから外しました。この文書には、2028年からEUの歳入を増やすための新しい選択肢が示されています。これにはタバコ製品、廃棄された電子機器、そしてEU域内での年間売上が5,000万ユーロを超える大企業への課税などが含まれています。以前に検討されていたデジタル税は、ここにはありませんでした。

もちろん、年間売上5,000万ユーロを超える企業への課税は、デジタル企業も対象になる可能性はあります。しかし、以前のデジタル税の計画のように、デジタル企業だけが特別に標的にされることはなくなった、という点がポイントです。

デジタル税の代わりに検討される「3つの新たな課税案」

EU vs Bib Tech_02.

デジタル税の代わりに、欧州委員会は3つの新しい課税案を検討しているとされています。これらは、EUの共同債務返済のために、年間250億〜300億ユーロの歳入を生み出すことを目指しています。

具体的な課税案は以下の通りです。

  • 新しいEU全域でのタバコ製品への課税:
    現在、タバコ製品への課税は各国のレベルで行われていますが、これをEU全体で統一的に課税する案です。
  • 廃棄された電子機器への課税:
    不要になったスマートフォンやパソコンなどの電子機器に課税することで、リサイクルや廃棄物削減を促す狙いもあるかもしれません。
  • 年間EU売上5,000万ユーロを超える大企業への法人税:
    これは、特定の業種に限定せず、EU域内で一定以上の売上がある大企業全体に課税するものです。デジタル企業もこれに含まれる可能性はありますが、デジタルサービスに特化したものではありません。

これらの案は、デジタル税よりも広範な企業や製品を対象とすることで、より公平な負担を求める意図があると考えられます。

新たな課税案が抱える課題と今後の展望

EU vs Bib Tech_03.

欧州委員会が新たな課税案を提案したからといって、すぐに導入されるわけではありません。これらの提案が実際に実現するかどうかは、EU加盟国間の政治的な摩擦に大きく左右されます。すでにいくつかの国からは懸念の声が上がっています。

例えば、イタリア、ギリシャ、ルーマニアは、電子タバコやVAPE(ベイプ)への新たな課税について懸念を表明しています。また、スウェーデンは、自国の税収をEUと共有するという考えを「全く受け入れられない」と強く反発しています。このように、各国の経済状況や産業構造、そして政治的な思惑が絡み合い、合意形成には多くの調整が必要になるでしょう。

最終的な決定がいつになるのか、そしてどのような形で落ち着くのかは、まだ不透明な部分が多いです。しかし、EUの動きは遠い話に聞こえるかもしれませんが、世界経済は密接につながっています。これらの課税案が現実になれば、最終的には私たちの消費行動や企業活動にも影響が出てくる可能性があります。

例えば、タバコ製品や電子機器の価格に影響が出るかもしれませんし、大企業の税負担が変われば、その企業のサービスや製品の価格にも影響が出るかもしれません。今後のニュースに注目し、自分たちの生活にどう関わってくるのかを意識することが大切です。

まとめ

欧州委員会は、当初計画していた巨大IT企業へのデジタル税を撤回し、代わりにタバコ製品、廃棄電子機器、そして年間売上5,000万ユーロ以上の大企業への法人税という3つの新たな課税案を検討しています。
これは、EUの共同債務返済のための財源確保が目的です。

しかし、これらの新しい課税案も、EU加盟国間の意見の相違という課題を抱えており、その導入にはまだ時間がかかりそうです。
私たちにとって重要なのは、これらの国際的な税制の動きが、間接的に私たちの生活や消費に影響を与える可能性があるということを理解しておくことです。

(Via 9to5Mac.)


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