近年、AppleのAirPods Proを補聴器の代わりとして使用する人が増えています。レストランなど騒がしい場所での会話が聞き取りやすくなったという声がある一方で、常に装着するには抵抗があるという意見も。
この記事では、AirPods Proを補聴器として使用する際のメリットとデメリット、そして実際に使用する際の注意点について、解説します。
AirPods Proが補聴器の代わりになる?その仕組みとは
AirPods Proには、周囲の音を増幅して聞き取りやすくする「外部音取り込みモード」や、周囲の雑音を低減する「ノイズキャンセリング機能」が搭載されています。これらの機能を活用することで、軽度から中等度の難聴を持つ人が、会話を聞き取りやすくしたり、騒音下での聴取を改善したりすることが可能になります。
AirPods Proを補聴器として使用するには、iPhoneの「設定」アプリから[アクセシビリティ] > [オーディオ/ビジュアル] > [ヘッドフォン調整]と進み、聴力テストを実施して、自分の聞こえ方に合わせた調整を行う必要があります。

AirPods Proを補聴器として使うメリット:手軽さと多機能性
- 手軽さと経済性:AirPods Pro 2は、従来の補聴器と比べて手頃な価格で入手でき、特別な医療機関での調整を必要としません。これにより、初めて聴覚補助デバイスを試す方にとって、敷居が低くなっています。
- 多機能性:音楽鑑賞や通話など、通常のイヤホンとしての機能に加えて、聴覚補助機能も備えているため、デバイスの用途が広がります。また、音楽や映画の音質向上、外部音取り込み時の音質改善など、さまざまなシーンで活用できます。
- カスタマイズ性:ユーザーの聴力に合わせて音の増幅やバランスを調整でき、個々のニーズに応じた設定が可能です。さらに、会話を強調する機能もあり、特定の状況での聞き取りをサポートします。
The Wall Street JournalのNicole Nguyen氏とJulie Jargon氏の取材によれば、AirPodsを補聴器として試した人々の多くは、補聴器としての機能そのものよりも、装着感や周囲の目を気にすることに課題を感じているようです。しかし、補聴器を使ったことがない人が、補聴器の使用感を気軽に試せるという点では、AirPods Proは非常に有効な手段となり得ます。
AirPods Proを補聴器として使うデメリット:装着感と周囲の目
- 装着感と外観:AirPods Proは、長時間の装着において耳から外れやすいと感じるユーザーもおり、特に運動時や活動的な場面では注意が必要です。また、白いイヤホンを常時装着することに対して、社会的な視線やマナーを気にする方もいます。
- バッテリー持続時間:AirPods Proのバッテリー持続時間は最大で約6時間とされていますが、これは従来の補聴器と比較して短く、長時間の使用には不向きです。特に外出先での長時間使用を考慮する場合、バッテリー切れのリスクがあります。
- 音質の限界:AirPods Proの聴覚補助機能は、軽度から中程度の難聴を対象としており、重度の難聴には対応しきれない場合があります。また、バックグラウンドノイズの増幅や特定の音域の聞き取りにくさを指摘するユーザーもいます。
AirPods Proを補聴器として使う際の注意点:設定と調整が重要
AirPods Proを補聴器として使用する際には、いくつかの注意点があります。
まず、AirPods Proのメニューは、イヤホンがiPhoneに接続され、耳に装着されているときにのみ「設定」に表示されます。このメニューから聴力テストを行い、増幅や周囲の雑音低減の設定を調整することができます。
また、AirPods Proのノイズキャンセリング機能は、人によっては周囲の音を遮断しすぎてしまい、会話が聞き取りにくくなる場合があります。そのような場合は、「外部音取り込みモード」を有効にすることで、より多くの外部の音を聞き取ることができます。
さらに、AirPods Pro 2には、4種類のサイズのイヤーチップが付属しています。直感に反するように思えるかもしれませんが、より小さいイヤーチップの方が、耳にしっかりと固定される場合があります。自分に合ったイヤーチップを選ぶことも、快適な装着感を得るために重要です。
AirPods Proは補聴器の入門機として有効
AirPods Proは、補聴器を初めて試す人にとって、手軽で多機能な入門機として非常に有効です。
しかし、医療機器である補聴器とは異なるため、重度の難聴を持つ人には適していません。AirPods Proを補聴器として使用する際には、自分の聴力レベルや使用目的に合わせて、適切な設定と調整を行うことが重要です。
もし、AirPods Proを試してみて、補聴器としての機能に満足できない場合は、専門の医療機関を受診し、自分に合った補聴器を選ぶことをおすすめします。
(Via The Wall Street Journal.)
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