Appleのスマートホーム戦略が大きく変わる!? 新デバイスと専用OSで市場制覇を狙う
スマートホーム市場で苦戦を強いられてきたAppleが、ついに本格的な巻き返しに乗り出します。
高価格帯の製品と閉鎖的なエコシステムというこれまでの戦略を見直し、他社製品との互換性やAI、新OSを駆使した新戦略で、AmazonやGoogleの牙城を崩せるのでしょうか?
BloombergのMark Gurman氏が最新のPower onニュースレターでAppleのスマートホーム戦略について報じています。
Appleのスマートホーム市場での現状
Appleは、これまでスマートホーム市場では苦戦を強いられてきました。HomePodやApple TVなど、一部のファンに支持されている製品はありますが、AmazonやGoogleの製品に比べると、市場シェアでは後れを取っています。
その理由として考えられるのは:
- 高価格戦略
- クローズドな生態系(エコシステム)
これらの要因が、幅広い製品との互換性を求めるスマートホーム市場では、必ずしも効果的ではなかったのです。
Appleの新戦略:全方位的なスマートホーム体験の構築
しかし、Appleは諦めていません。むしろ、これまでの経験を活かし、より積極的な戦略を打ち出そうとしています。その核心は、「家中にAppleの画面とソフトウェアを配置し、エンドツーエンドの体験を創出する」というものです。
具体的には、以下のような取り組みが計画されています:
- 新しい「homeOS」オペレーティングシステムの開発
- スマートディスプレイの導入
- 高性能なロボット式テーブルトップデバイスの開発
これらの製品やシステムは、今後2年間でAppleの最優先事項になると予想されています。
オープンエコシステムへの転換
Appleの新戦略で注目すべき点は、これまでのクローズドな姿勢から、よりオープンなエコシステムへの転換を図っていることです。
具体的には:
- 「Matter」というスマートホームプロトコルの開発に参加
- Amazon、Google、Appleのデバイスが相互に連携できる環境の整備
この方針転換は、ユーザーにとって大きなメリットとなるでしょう。様々なブランドの製品を組み合わせて、自分好みのスマートホーム環境を構築できるようになるからです。
AIを活用した高度な自動化と制御
Appleの新戦略のもう一つの柱が、人工知能(AI)の活用です。「Apple Intelligence」プラットフォームを用いて、次のような機能の実現を目指しています:
- 高度なホームオートメーション
- アプリケーションの精密な制御
- デバイスやメディアの統合管理
特に注目すべきは、新しい「App Intents」システムです。これにより、SiriがアプリケーションI自体の機能をこまかく操作できるようになります。
例えば、「Siri、リビングの温度を2度上げて、お気に入りのプレイリストを流して」と言えば、暖房の調整と音楽再生が同時に行われるといった具合です。
新製品への期待:スマートディスプレイとロボット式デバイス
Appleが開発中の新製品についても、いくつかの情報が明らかになっています。
スマートディスプレイ
- iPad似の手頃な価格の画面デバイス
- TV+のストリーミングコンテンツ視聴
- FaceTimeでのビデオ通話
- ウェブ閲覧
- カレンダーやメモなどのアプリ使用
これらの機能を備えたスマートディスプレイを、家中の様々な場所に設置できるようになるでしょう。
ロボット式テーブルトップデバイス
- 高価格帯(約1000ドル程度)
- 主な機能:
- 回転式のロボットアームの上に画面を配置
– ホームセキュリティ監視
– 高度なビデオ会議
– 高音質オーディオによるメディア再生
特に、このロボット式デバイスは、環境を理解し、画面を見ている人や話している人を感知する能力を持つと言われています。これにより、よりインタラクティブで自然なユーザー体験が可能になるでしょう。
Appleの課題と展望
しかし、Appleにとってこの新戦略の成功は簡単ではありません。過去の経験から、スマートホーム市場での成功には以下の課題があることが分かっています:
- 適切な価格設定
- 革新的な機能の提供
- 他社製品との互換性の確保
一方で、競合他社も最近は大きなブレイクスルーを起こせていないのが現状です。例えば、Amazonの人気だったEchoスピーカーの勢いは鈍化し、ロボット製品なども大きな成功を収めていません。
つまり、Appleにとっては大きなチャンスが訪れているとも言えるのです。新しいhomeOSやスマートディスプレイ、ロボット式デバイスが成功すれば、Appleはスマートホーム市場で大きく飛躍する可能性があります。
まとめ
AIの活用やオープンなエコシステムへの転換など、これまでのAppleとは一線を画す戦略は、非常に興味深いものです。
今後2年間で、Appleがどのような製品やサービスを発表し、スマートホーム市場でどのような存在感を示すのか、大いに注目されます。
(Via Bloomberg.)
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