Meta、Appleに続きEU諸国での将来的なAIモデル提供を見送り:AI開発競争と規制の狭間で

Meta、Appleに続きEU諸国での将来的なAIモデル提供を見送り:AI開発競争と規制の狭間で

FacebookやInstagramを運営するMetaが、EUの国々で新しいAIモデルを提供しないことを決めました。

先月AppleもEUでのAI機能提供を見送ると発表しています、一体何が起きているのでしょうか?

AppleとMetaの決定:何が起こったのか?

Appleの場合

まず、Appleの動きから見ていくと、Appleは今年の秋から、「Apple Intelligence」という新しいAI機能の提供を始める予定でした。しかし先月、EUの国々ではこの機能を提供しないと発表しました。


Appleはその理由として、「デジタル市場法(DMA)がもたらす規制の不確実性」を挙げています。具体的には、以下の3つの機能がEUのユーザーには提供されないことになりました:

  1. iPhoneミラーリング
  2. SharePlayの画面共有機能の強化
  3. Apple Intelligence

ただし、Appleは将来的にEUでこれらの機能を提供する可能性は残しています。

Metaの場合

そして今回、MetaもAppleとほぼ同じ理由で、次世代のAIモデルをEUで提供しないと発表しました。Metaの声明を見てみると:

今後数ヶ月のうちにマルチモーダルLlamaモデルをリリースする予定ですが、ヨーロッパの規制環境の予測不可能な性質のため、EUでは提供しません。

ここで出てきた「マルチモーダル」というのは、映像、音声、画像、テキストなど、複数の種類のデータを処理できるAIのことです。実は、MetaはすでにMeta Ray-Banスマートグラスでこの種のAIを使っています。このグラスは建物やアートワーク、花などを認識できます。

Apple Meta_02.

なぜEUだけが対象なのか?

では、なぜAppleもMetaも、EUだけでAI機能の提供を見送ることにしたのでしょうか?その背景には、EUの厳しいデジタル規制があります。

EUのデジタル市場法(DMA)とは?

EUのデジタル市場法(DMA)は、大手テクノロジー企業の力を制限し、より公平な競争環境を作ることを目的とした法律です。この法律は、AppleやMeta、Google、Amazonなどの「ゲートキーパー」と呼ばれる大企業に、特別な義務を課しています。

例えば:

  1. 自社のプラットフォームで、他社のアプリやサービスを公平に扱うこと
  2. ユーザーデータの取り扱いに関する制限
  3. 自社サービスの優遇禁止

これらの規制は、AIの開発と提供にも大きな影響を与える可能性があるのです。

企業側の懸念

AppleもMetaも、EUの規制が「不確実」で「予測不可能」だと言っています。つまり、新しいAI機能を開発しても、それがEUの規制に違反してしまうかもしれない、という不安があるんです。

AIの分野は日々進化しているので、今の規制がAIの未来の姿に適合するかどうかが不透明なんですね。だから、企業としては慎重にならざるを得ないわけです。

Apple Meta_03.

この決定が及ぼす影響

AppleとMetaの決定は、単に2つの企業の話で終わりません。この決定は、様々な面で影響を及ぼす可能性があります。

1. EUのユーザーへの影響

まず、EUに住む人たちは、最新のAI機能を使えなくなってしまいます。例えば、Appleの場合、iPhoneの新機能の一部が使えないことになります。

Metaの場合も、FacebookやInstagramで新しいAI機能が使えなくなる可能性があります。

2. AI開発競争への影響

EUでAI機能の提供が遅れると、アメリカや中国などの他の地域と比べて、AI技術の発展に遅れを取る可能性があります。

これは長期的には、EUの技術競争力に影響を与えるかもしれません。

3. 規制のあり方への影響

この決定は、EUの規制当局に対する一種の「警告」とも言えます。つまり、「厳しすぎる規制は技術革新を妨げる可能性がある」というメッセージを送っているのです。

これをきっかけに、AIに関する規制のあり方について、再考が促される可能性があります。
Apple Meta_04.

4. ビジネスモデルへの影響

AppleやMetaのような大企業が、地域によって提供するサービスを変えざるを得なくなると、グローバルなビジネスモデルの再考が必要になるかもしれません。これは、他の企業にも波及する可能性がある問題です。

今後の展望:AIと規制のバランスを求めて

この問題は、技術の進歩と社会の規制のバランスをどう取るか、という大きな課題を提起しています。今後以下のような動きが予想されます:

  1. EUと企業の対話:
  2. EUの規制当局と企業の間で、より活発な対話が行われるでしょう。お互いの立場を理解し合い、より良い解決策を見つけようとするはずです。

  3. AI特有の規制の検討:
  4. 現在の規制は、AIの特性を十分に考慮していない可能性があります。AIに特化した、より柔軟な規制の枠組みが検討されるかもしれません。

  5. グローバルスタンダードの模索:
  6. AI開発は世界中で行われています。将来的には、国際的に統一されたAI規制の基準が求められるでしょう。

  7. 企業の戦略変更:
  8. AppleやMetaのような大企業は、地域ごとに異なる戦略を立てる必要が出てくるかもしれません。これは、グローバル企業の在り方自体に影響を与える可能性があります。

Apple Meta_04.

まとめ:AIの未来は私たち次第

AppleとMetaのEUでのAI提供見送りは、一見するとネガティブなニュースに思えるかもしれません。しかし、これは実はAIと社会の関係を考え直す良いきっかけなのです。

AIは私たちの生活を豊かにする可能性を秘めています。同時に、適切な規制も必要です。この両者のバランスを取ることが、これからの大きな課題となるでしょう。

(Via 9to5Mac.)


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