iPhoneが牽引する2025年スマホ市場回復 – 中国低迷でも世界出荷3.9%増の背景

iPhoneが牽引する2025年スマホ市場回復 – 中国低迷でも世界出荷3.9%増の背景

2025年のスマートフォン業界は、Apple iPhoneの好調な出荷によって市場全体が底上げされる構図が鮮明になっています。IDCの最新予測では、世界のスマートフォン出荷台数が前年比1%増の12.4億台に達する見込みで、この成長を実質的に支えているのがiPhoneの3.9%増という力強い伸びです。

一方で、中国市場の低迷や消費者の買い替えサイクル長期化など、業界全体が抱える構造的課題も浮き彫りになっています。

iPhone単独で業界全体を支える構図

IDCの8月レポートによると、2025年の世界スマートフォン出荷台数は前年比1%増の12.4億台となる見通しですが、この成長はほぼ全てiPhoneによるものです。

iPhone出荷台数が3.9%増を記録する一方、iPhone以外のスマートフォンを除くと、世界全体の出荷台数は横ばいまたはマイナス成長になる計算となります。

この現象は、スマートフォン業界がいかにAppleの動向に依存しているかを示しています。特に、Appleの強固なエコシステムと顧客ロイヤリティが、市場全体の下支え役となっている構造が明確になりました。

地域別格差が鮮明に – 中国1%減、米国は3.6%増

地域別に見ると、市場の明暗が大きく分かれています。最大の懸念材料は中国市場で、政府補助金の終了と消費回復の遅れにより、IDCは予測を1%減に下方修正しました。

一方で、米国市場は3.6%増、中東・アフリカ地域は6.5%増と堅調な成長が期待されています。アジア太平洋地域(中国除く)も0.8%増と小幅ながら成長を維持する見込みです。

Appleにとって米国市場は、プレミアム市場での支配的地位とキャリアとの密接な連携による端末アップグレード促進施策の重要な基盤となっています。

プレミアム戦略が奏功 – 平均販売価格5%上昇

IDCは業界全体の平均販売価格が2025年に5%上昇し、市場全体の価値は6%増になると予測しています。これはAppleが示すプレミアム戦略の有効性を裏付けるデータです。

Appleは単位シェア追求ではなく、下取りプログラムや分割払いオプションにより高価格帯製品をより購入しやすくする戦略を採用しています。iPhoneは単なる通信機器ではなく、Apple Music、iCloud、Apple Oneなどのサービスと連携したエコシステムの中核として機能し、顧客の囲い込み効果を発揮しています。

GenAI搭載スマホが市場を変革

2025年にはGenAI対応スマートフォンが3.7億台出荷され、世界市場の約30%を占める見通しです。2029年までにはこの比率が70%を超えると予測されています。

AppleはiPhone 17で新たなAI機能を搭載予定で、技術が完成してから市場投入するという同社の慎重なアプローチが功を奏する可能性が高いです。AppleがFace IDを業界標準に押し上げたように、AI機能についても同様の影響力を発揮することが期待されています。

リスク要因への対応が課題

25%の関税措置が発表されていますが、IDCの予測はスマートフォンに対する追加免除措置が継続されることを前提としています。貿易政策の変更は市場見通しを大きく左右する可能性があります。

より本質的な課題は、消費者の買い替えサイクル長期化です。4年以上同じ端末を使用する消費者が増加傾向にあり、Appleも年次アップグレードプログラムや下取りサービスでこの影響を軽減していますが、業界全体のトレンド転換には至っていません。

まとめ

>2025年のスマートフォン市場は、iPhoneの一人勝ち状況が一層鮮明になった年として記録されるでしょう。
中国市場の低迷という大きな逆風の中でも、Appleのプレミアム戦略とエコシステム構築力が業界全体を牽引しています。

GenAI機能の本格普及や消費者の買い替えサイクル変化など、市場を取り巻く環境は急速に変化していますが、Appleの市場支配力は当面継続すると予測されます。

競合他社にとっては、単なる価格競争から脱却し、独自の価値提案を確立することがこれまで以上に重要になっています。

参考リンク

IDC Worldwide Mobile Phone Tracker
Apple Investor Relations
スマートフォン市場分析レポート – 総務省


LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)