金曜日、Apple本社で開催された全社会議で、CEOのTim Cook氏とシニアバイスプレジデントのCraig Federighi氏が、人工知能分野での取り組みについて社員に向けて語りました。この会議では、これまで批判を受けてきたApple Intelligenceの今後や、遅れているSiriの改良計画が詳しく説明されました。

私たちは普段、Appleの内部情報を知る機会は少ないものです。しかし今回の全社会議の内容が明らかになったことで、Appleが人工知能分野でどのような戦略を描いているのかが見えてきました。

Tim Cook氏の力強いメッセージ｜「Appleがやらなければ誰がやる」

全社会議でTim Cook氏は、人工知能への取り組みについて明確な意志を示しました。

「Appleはこれをやらなければならない。Appleがやるのだ。これは私たちが掴むべきものだ」

Cook氏のこの発言は、AI分野での遅れを指摘する声に対する明確な回答でもありました。そして彼は、Appleが必要な投資を行う準備があることを強調しました。

興味深いことに、Cook氏はAppleの歴史を振り返りながら、「先駆者である必要はない」という哲学を改めて説明しました。

「最初である必要はない」｜Appleの成功哲学

Cook氏は社員に向けて、Appleが常に業界の先駆者だったわけではないことを思い出させました。

「私たちが最初だったことは稀だ。Macの前にはPCがあった。iPhoneの前にはスマートフォンがあった。iPadの前には多くのタブレットがあった。iPodの前にはMP3プレーヤーがあった」

この発言は、AI分野で他社に後れを取っていることへの批判に対する、Appleらしい回答と言えるでしょう。同社は確かに、既存の製品カテゴリーに参入して、より良い製品を作ることで成功を収めてきました。

同時にCook氏は、社員に対してもAIを積極的に活用するよう呼びかけました。「私たち全員がすでにAIを大幅に使っている。企業としても同様に使わなければならない。そうしなければ取り残される」

Craig Federighi氏がSiri遅延の理由を説明

会議では、Siriの改良が遅れている理由についても詳しく説明されました。Craig Federighi氏によると、問題は二つの異なる技術的課題を統合することの難しさにあったそうです。

アラーム設定などの日常的なスマートフォン機能と、大規模言語モデルを組み合わせることは、2024年のWWDCで実演された際に明らかになったように、想像以上に困難だったのです。

「当初はハイブリッドアーキテクチャーを目指していた。しかし、そのアプローチではApple品質に到達できないことがわかった」とFederighi氏は説明しました。

2026年春に登場予定の新しいSiri

遅延の理由を説明する一方で、Federighi氏は改良されたSiriへの期待も語りました。

「Siriの全面的な見直し作業により、必要な結果を得ることができた。これにより、発表した内容を提供するだけでなく、当初想定していたよりもはるかに大きなアップグレードを提供できる立場に立った」

新しいSiriは2026年春にリリース予定とのことです。長い待機期間になりますが、Appleとしては質の高い製品を提供することを優先しているようです。

その他の重要な話題

1時間にわたった会議では、AI以外の話題も取り上げられました。Apple TV+の視聴者数改善、AirPods Proの補聴器機能、新興市場への進出、環境問題への取り組みなどが議論されました。

また、最高執行責任者Jeff Williams氏の退任についても言及されたとのことです。

全社会議が示すAppleの変化

実は、Appleが全社会議を開催することは非常に珍しいことです。過去には、iPhone 4のアンテナ問題、初代HomePodの販売終了、AirPowerワイヤレス充電パッドのキャンセル時に開催された程度です。

今回の会議開催は、Appleが外部からの批判や意見により注意を払い始めていることを示しているかもしれません。普段はユーザーの直接的なフィードバックを重視し、ソーシャルメディアの声にはあまり耳を傾けない同社が、より幅広い意見を取り入れようとしている可能性があります。

(Via Apple Insider.)